第四回 ~遅れてきた主役たち

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 
 電力の小売完全自由化がスタートして1年が経ちました。「完全」と入っているのがポイントです。電力の小売りの自由化は2000年から始まっています。昨年の4月までに50kW以上のいわゆる高圧の顧客に対してはすでに自由に電気が売れる状態になっていました。それが、この4月から一般家庭などの低圧顧客を含むすべての電気の需要者に向けて「完全」に自由化されたという事です。
新たに自由化された一般家庭などの低圧の顧客のうちいわゆる新電力(小売電気事業者)に切り替えたのがおよそ5%強でした。この数字の評価については、すでにこのコラムでも書きました。結構進んでいるというのが私の見方です。
さて、完全自由化をターゲットにビジネスを始めるために、小売電気事業者として登録をした会社は、昨年4月1日時点で2百数十社でした。ドイツでは同様の切り替え時点で100を少し超える程度だったので、日本は倍以上という盛り上がりだったといえます。
ただ、そのうちの多くは、東京などに本店がある大きな資本の会社で地域に根差した地域新電力は数えるほどでした。この1年のうちに、自治体自身が資本金を入れるいわゆる自治体新電力が合わせて30近くまで増え、また地域資本中心の新電力もじわじわ増加の傾向にあります。私から言わせれば、やっと主役が登場してきたというところでしょう。

 そこで、今回は4月初旬に行われた青森の地域新電力(地域エネルギー会社)の記者発表のお話をしましょう。発表者は、青森県八戸市に本社を置く「青森県民エナジー㈱」です。東北地方は電力の切り替えがあまり進んでいません。全体のおよそ2.2%程度ですから全国平均の半分ほどです。さらに青森県内に本社を置く小売電気事業者はこれまでわずか1社だけで、これも名ばかりで100%県外資本の会社です。
 青森県民エナジー㈱は、地元で太陽光発電や風力発電を行う企業の関連会社と県内に店舗を持つ生協が資本を出し合って作った会社です。対象は、青森県民生協と青森県庁生協の組合員や県内全域の高圧の事業所などで、『あおもり県民でんき』の名前で販売します。
とはいえ、小売完全自由化から1年遅れのスタートです。また、提供する電気料金も基本料金を除いた従量料金を3%ほど安くするといった程度で、正直言って値段のインパクトもそれほどではありません。
いわゆる『売り』は、青森県資本100%と地域のFIT電源をできるだけ使ってエネルギーの地産地消を行い、地域内経済循環から地域活性化を目指すといった理念と地域全体への貢献ということになります。

 マスコミの反応は意外なほど高いものでした。
 10日に青森県民生協の青森市内の店舗の一角で開かれた記者会見には、会場に入り切れないほどのテレビと新聞が集まりました。急きょ会場を拡張し対応したほどです。テレビではNHKを始め地元の民放の2社(なぜかテレビ朝日系だけがいませんでしたが)、新聞は全国紙や地元紙、東北エリアの新聞を含むほぼ全紙が揃いました。予定時間を超えた記者会見の後でも、青森県民エナジーの関係者を取り囲んで質問攻めが続いたのが印象的でした。
 その日の夕方や夜のローカルニュースを皮切りに、翌朝の朝刊などの紙面を飾り、そこでは「県内資本初」、「県内全域」という文字が踊りました。今後も特集として取り上げたいと取材の先約までありました。
 マスコミの反響は、地元の期待だと思って良いでしょう。地域新電力は、文字通り地域のための会社であるべきです。現在、全国の小売電気事業者登録は400社近くまで増えました。いずれ、厳しい競争と淘汰の時代がやってきます。生き残りのポイントは、価格の安さではありません。いかに地域に密着し、地域と共栄していけるかが、大きな付加価値となります。今回の青森での記者会見は、その証明だと言えます。

以上

記者発表の様子

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