第九回 ~勢いを増す交通革命

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 
 3月から4月にかけてのコラムで交通革命について触れました。覚えていらっしゃるでしょうか。
 電気、熱に加えて交通のエネルギーも地域でカバーできることになるという意味から、地域エネルギー会社が知っていなければならない将来の方向について書いたつもりでした。そこではアメリカのシンクタンク、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスがまとめた「2040年に世界の新車の販売台数の3分の1がハイブリッドを含むEVになる」という予想(昨年2016年時点)を紹介しています。
 原稿を打つ私自身、正直言って「本当かいな」とも思いました。ところが、それをさらに上回る話がこのところ次々と入ってきています。

 まずは、そのブルームバーグからです。ほんのつい先日、このシンクタンクがEVだけに関するリポートを発表しました。『電気自動車アウトルック2017』です。そこに示されていたのは、先の“2040年に3分の1”予測をあっさり覆すものでした。
 2040年には3分の1どころか年間販売数の54%がEVになるというのです。また、道路上を走る車の3台に1台がEVとの予測でした。ブルームバーグ自体が、「我々の2016年の予測をはるかに超えるアグレッシブなもの」と完敗宣言しています。その理由は、直接的にはリチウムイオン電池の劇的な価格低下で、2020年代後半には急激に価格が下がり、2030年には70%安くなるとしています。一方で、消費者のEVの価格に対する理解が深まることや、何より自動運転やカーシェアリングの普及が大きく後押しをすると背景をまとめており、交通革命が三位一体となって進むことも示しています。

 シンクタンクの予測だけでは納得しにくいといわれる方もいらっしゃるでしょう。予測は外れるものと思うのは決してへそ曲がりという訳ではありません。ところが、実態としてもこのトレンドを裏づけることが起き始めています。
 一番近いニュースは、たいへん若く既存の政党出身でない大統領が誕生したばかりのフランスから届きました。2040年以降ガソリンやディーゼル車をフランスでは販売禁止とするというのです。欧州の先進国内での宣言に自動車メーカーの早期の方針変更が余儀なくされるという見方が広がっています。ドイツやオランダでも同様の動きがあり、インドも検討しているというニュースがありました。
 また、北欧スウェーデンの自動車メーカーであるボルボもつい最近、大きな決断を発表しました。2019年以降、内燃機関の自動車は作らないと決めたのです。隣のノルウェーではすでに4割がEVですから、驚きとは言い切れないのかもしれません。

 私事ですが、5月から6月いっぱいの短い間に、ドイツに二回行ってきました。地域エネルギーシステムに関する視察です。自治体側は地域の再生エネ電力が使えるクリーンな交通手段は魅力で、ドイツのどの都市でもシェアリングシステムと対になったEVの導入実証などが進んでいます。しかし、急速充電器の普及が追い付かず物理的に間に合わないという見方もあり、これまでほったらかしにしてきた自動車メーカーへのちくりとした非難も聞きました。
 高い価格もネックの様で、ドイツの中北部オスナブリュック市では、シュタットヴェルケが主体となって電動自転車(「転」です)のシェアリングのプロジェクトが行われていました。私も案内をしていただいた市の方と一緒に電動自転車で訪問先を回りました。
 EVという、Vehicle(自動車)だけの電動化だけでなく、広くMobility(移動手段)を考えていこうとしていることがよく分かりました。

 最近国内で講演する時には、必ず「交通革命」を語ることになっています。ドイツでも「エネルギーシフト(革命):Energiewende」と同様に、「交通革命:Kehrwende」という文字を見るようになりました。先端を行くシンクタンクの予測のスピードをはるかに上回る勢いで進むEVの普及は、他人事ではありません。地域のエネルギーの3分の1を費やしている交通部門のエネルギーをどう地域内で賄っていけるかが、地域活性化の鍵になることは間違いありません。

以上

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