第十回 ~地域から流出するエネルギー費はいったいいくらなのか

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 
 地域エネルギー会社を作る最大のメリットは、この会社が「エネルギーの地産地消」を達成するキイ的な存在になれるという点です。
現状では、電気や熱、ガソリンなどのエネルギーやその原料は、お金を出して地域の外から買ってくることがどこでもごく普通に行われています。それは多額の地域のお金が外へ流出することですし、これが地域の疲弊の要因のひとつになっているのです。地元で作り出すことのできる再生エネの拡大で、エネルギーも地産地消できる時代になってきました。それを実現させるには、地域でエネルギーの需給を行う地域エネルギー会社が必要で、それによって流出エネルギー費を減らすことができるというのが基本的な理屈です。

ただしエネルギーの地産地消というものが厄介なのは、なんだか漠としてとらえどころのない理念にしか映らないという事です。
 私があちらこちらでこのエネルギーの地産地消をお話させてもらう時に、以前は、エネルギーを買うために地域からお金が出ていく仕組みを示した概念図だけを使っていましたが、これでは地元の皆さんになかなか響かないなあと感じていました。
 ところが、おととし2015年の暮れに環境省が「地域経済循環分析」というデータの提供を始めました。日本全国のすべての自治体から流出するエネルギー費を産業連関表などで計算し、そのエネルギー費の流出額が地域内総生産のうちどの程度の割合になっているかを数字と共にビジュアル化したものです。
 ちなみに、全自治体の9割以上でエネルギー費は流出(つまり赤字)し、その割合は地域内総生産の平均数%にも及んでいることが分かりました。数%というとピンと来ないかもしれませんが、人口3万人の自治体で地域内総生産は1,000億円程度あるため、流出額は数十億円になります。凄い額ですね。そのうち電力調達のために20億円くらいが出ている計算で、これを地域エネルギー会社が食い止めれば大きな経済効果をもたらすことができるのです。やはり、具体的な数字を見せられると人は納得するもので、自治体の首長さんに町や市の実態をお話したところ目の色が変わりました。

 ところが、この分析は該当する自治体の同意が必要なうえ、5万円の費用が発生し、さらにデータは自分で加工しなければなりません。決して使いやすいものではなかったのです。
 ところが、この7月7日にこれが一気に解決できるツールの提供が始まりました。環境省による新しい『地域経済循環分析ツール』がWEBから誰でもダウンロードできるようになったのです。さらに、自動的にデータを計算してくれた上で、パワーポイントまで作成してくれるのです。無料です。環境省は本当に良い仕事をしているなあ、といったんは本音で感動しました。

 まず、URLを示しておきましょう。環境省のWEBサイトの地域経済循環分析のページで、
 http://www.env.go.jp/policy/circulation/index.html
 ダウンロードも簡単で、わかりやすいマニュアルやデータの見方もついています。
 ところが、残念なことに気づきました。いくつかの自治体で試したところ、明らかに間違ったデータが提供されるケースがあるのです。今、環境省に問い合わせているので、いずれバグは解消されると信じます。それでも、あえて価値は高いとほめておきます。
 最初からお話しているエネルギー費の流出額を実際に金額として見て実感することができるのは地域エネルギー会社を事業として進める場合にもたいへん役に立ちます。もちろん、自治体が政策立案するのにも貢献することでしょう。

 この分析データでは、まず、流出エネルギー費の総額と地域内総生産に対する割合を知ることができます。また、流出エネルギー費の内訳として、「石炭・原油・天然ガス」「石油・石炭製品」「電気」「ガス・熱供給」の額が記載されます。
 面白いと思ったのは、エネルギーではありませんが、民間投資の流出額という項があり、これが半端な額ではないのです。10~20%の流出は当たり前で地域内総生産の20%越えも珍しくありません。これは何だろうと思って調べてみると、多くが金融機関による国債などの購入だということが分かりました。
 つまり、地元の金融機関に集まった預貯金が、本来なら地域に再投資されるべきなのに、国債の購入に充てられているという実態です。これでは地方の景気が良くなるわけはありません。例えば、地域エネルギー会社にこそ融資をして、地元での電源開発などの地域活性化のために投資されるべきなのです。地域エネルギー会社は、そういう役割を十分に担える存在だと確信しています。

以上

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