第十三回 ~ドイツ人が一番心配なこと

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 
 今回のテーマには、あれっと思う方が多いでしょうね。
ドイツ人が何を心配していようと、日本に住む私たちに、そして、地域のエネルギーにどんな関係があるのかと。あまり肩を張らず、遠く離れたドイツ人が何を考えて生きているのかの一端に、気楽に触れてみるつもりで読み始めてください。

 ドイツが再生エネの先進国であることは、エネルギーに関心のある方々にとっては、ある意味常識かもしれません。ここで書いたことが無かったかもしれませんが、私は二年ほどドイツに住んでいたことがあります。私がエネルギー関連の仕事をしている理由の一つは、そこにあります。私にとって、ドイツとエネルギーの関係は、ドイツ人とエネルギーに対する考え方というようにつながってくるのです。
よく日本人とドイツ人は考え方や行動が似ていると言われますが、それは、日本人の思い過ごしの部分が大きいと思います。特にシリアスなテーマへの向き合い方は、ドイツと日本では大人と子供の違いがあると言わざるを得ません。こういったことを前提に今回のテーマを見ていきましょう。
 
 「今、ドイツ人が一番心配していること」を取り上げることができるのは、ドイツのマスコミによる最近の世論調査の結果があるからです。それは、9月末に迫るドイツの総選挙を前に、有権者が何に関心があるかを調べたものです。
日本のマスコミも似たような調査を選挙前にやりますね。選挙の争点とか投票の基準を挙げてくださいとの質問で、日本では、「景気」や「高齢者福祉」などがいつも上位に来ている記憶があります。

 ドイツでは、複数回答を前提に、次のような心配が並びました。
1位「気候変動」71%、2位「新しい戦争」65%、3位「テロ」63%、4位「犯罪」、5位 「高齢者の貧困」といった具合です。欧州での最近の最大のテーマと考えられ、大きく報道されている「移民」問題は、6位で43%でした。
 心配事という質問なので、日本の選挙前の世論調査結果と単純には比べられません。ただ、回答のトップに、気候変動が来るのは本当にドイツらしいと思います。日本の調査では、地震が上位に来るかもしれませんね。しかし、気候変動は災害とは違って、人類の経済活動などに起因するもので、また、対策を講じることもできると考えられているのが大きく違います。
 
 ドイツの人々の7割が最大の心配事として気候変動を挙げるのは、彼らが真剣に危機感を抱いているからです。日本でもこの数年、異常気象が問題になっています。この夏も驚くほど長く雨が続いたり、かつてないほどの豪雨があちらこちらで起きたり、突然竜巻が発生したりと、異常が常態化しています。実は、ドイツでも同様のことが起きています。私がドイツに住んでいたのは20年近く前のことです。当時、冬はしっかり寒く、夏は暑いといっても30度を超えることはほとんどなかったと思います。ところが最近ドイツに行くと、11月に20度を超えたり、6月に40度近くになったりということがあります。春先の大雨で洪水が多発し、夏の雨で10度近くまで気温が下がることも経験しました。CO2の増加による温暖化が招く異常現象が明らかに増え、それをドイツ人は心の底から恐れているのです。
もともと自然を大事にし、環境を守ることに熱心なドイツ人が、身近に起きている変化に敏感になるのは当然かもしれません。そして、CO2削減の切り札としても再生エネの拡大を推進している側面があるのです。毎年行われる別の世論調査では、「再生エネを増やすことが重要である」と考える人が、常に9割を超えています。
私はこれまで講演の中で、ドイツが再生エネを進める理由として3つのことを挙げてきました。①脱原発、②エネルギーの安全保障(ロシアからの天然ガスなど輸入エネルギーを減らすこと)、③再生エネビジネスを新しい経済の柱にすることです。そして、今は、四番目の理由として、気候変動対策を挙げるべきだと思うようになりました。

どうでしたでしょうか。ドイツでの再生エネ拡大が続いていることの裏には、こうしたドイツ人の考え方があることを知ってもらえたと思います。
さて、次は私たちの番です。異常気象など身の回りの様々な出来事に、日本人は具体的にどう対応していけばいいのでしょう。
 

以上

電力コラムの記事一覧

弊社事業のご紹介

バックオフィス支援

バックオフィス支援業務

新電力事業を新規に立ち上げる方
開始されている方へ

自治体新電力のご提案

自治体新電力のご提案

自治体の皆様へ

バランシンググループ

パワーシェアリングの
バランシンググループ

インバランス発生のリスクやコストを削減!