第十四回 ~日本最大のバイオガス発電プラントとエンジニアリング会社と
      ドイツ人が不思議に思う日本人のこと(上)

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 
 今回は、日本ではまだ珍しい部類に入るバイオガス発電についてお話します。また、プラントを導入する際のエネンジニアリングの重要性、そして、タイトルにもあるように、前回でも扱ったドイツ人の考え方についても付け加えてお話します。少し長くなりそうなので、今回は上下の2回にわたってお届けします。まずは、上編です。

 先日、福岡県の朝倉市で3泊4日の仕事をしてきました。まもなく完成するバイオガスプラントの試運転に関するお手伝いです。朝倉市と聞いてピンとくる方々も多いでしょう。水害の爪痕はまだくっきりと残っていました。悲しいです。

ところで、日本では、木質バイオマスを燃やして行う発電と廃棄物などのバイオマスを発酵させてガスを取り発電するものの区別がついていない人も少なからずいらっしゃいます。
 前者を木質バイオマス発電、後者はバイオガス発電と言って、仕組みは全く違います。私が今回たずさわったのはバイオガスの方で、原料となるのは食品残渣などの一般廃棄物です。この原料を一定期間プラントで発酵させ、そのガスを燃やして発電する者です。細かい発電の仕組みは、ネットなりで調べていただくとしましょう。
朝倉のプラントは完全な民間事業で、発電規模が2MWと日本最大となる画期的なものです。また、FIT制度の下では当たり前ですが、一切補助金が入っていません。
いわゆるバイオガスプラントは、過去に作られていたものを含めて、日本ではおそらく100程度はあったのではないかと思われます。現在稼働しているものも二ケタ台あるでしょう。しかし、大半を補助金に頼ったり、赤字を自治体に補てんしてもらったりと厳しく見れば事業性に欠けるものが多いのが実態です。
 一方ドイツでは、バイオガスプラントは9,000基存在しており、その発電の安定性から見て、再生エネ発電の陰の主役とも言えます。
 
 日本で普及していない理由は、いくつかあります。プラントの価格が異常に高いこと、結果としてできる消化液(肥料に使える)を農地に撒くことが難しいことなどがまず挙げられます。プラント価格が「異常に」高いと書きましたが、実際にヨーロッパの4~5倍はするので、異常といってもおかしくないでしょう。なぜ高いかということについて書けば、このコラムを数回使うほどなので、ここでは触れません。ただし、日本でのコストに合わせてFITの買い取り価格も高いので、これはある程度クリアできています。消化液が撒けないのは、撒くような大規模な農地が日本では北海道くらいしか見当たらないことが理由です。国の面積はドイツも日本も変わりませんが、ドイツの農家は圧倒的な大規模農家です。

 さて、私が一番問題だと思うのは、きちんとプラントのエンジニアリングできる会社が日本にほとんどない事です。日本では、例えばバイオガスプラントを構成する個別の技術を持つメーカーの立場とそれを選ぶエンジニアリングの立場が必ずしも分離されていません。
 特にバイオガスプラントは、どこに作るかという立地(気温などの気候要素を含みます)、どんな廃棄物をどんな割合で入れるかという原料によって、組み立てが大きく違ってきます。そのため、その場所にあったある意味で独自のプラントを毎回、全体設計し、作らなければ事業性のあるプラントにはなりません。エンジニアリングが非常に重要になるのです。
それなのに、日本ではメーカー主導で決められることが多く、結果として、「技術的に最適でなく、コストがミニマムにならないプラント」がよく出来てしまいます。

 実は、この現象はバイオガスプラントに限って起きていることではありません。いろいろなプラントで、同様なことが起きています。メーカー主導で計画された結果、機器がすべてそのメーカーのグループのもので揃えられ、結局コストが上がってしまうことがよくあります。また、本来、別の機器の方が良いパフォーマンスを出せるのに、売り込みに来たメーカーの押しに屈して望ましくないプラントを導入したケースも知っています。
エンジニアリング会社は、中立の立場でいろいろなメーカーの機材を組み合わせ、目的を達成するための最低な技術を最も安く導入するのが一番重要な仕事です。お分かりのように最もクライアント寄りの立場です。日本のエンジニアリング会社は、メーカーの子会社的なものが多いのです。名前を見ても、○○(メーカーの名前)エンジニアリングという会社が目に着きますね。
 
 次回は、日本最大のバイオガスプラントで行ったエンジニアリングとは何だったのか、そして、日本でのバイオガスプラントの可能性、そして、今回は全く出てこなかったドイツ人の考え方の話をまとめてお届けします。

今後の日本での拡大期待
 通訳して気づいた難しさ。エンジニアリングの重要性
 日本人の付和雷同性とドイツ人の強すぎる自己主張

 

以上

電力コラムの記事一覧

弊社事業のご紹介

バックオフィス支援

バックオフィス支援業務

新電力事業を新規に立ち上げる方
開始されている方へ

自治体新電力のご提案

自治体新電力のご提案

自治体の皆様へ

バランシンググループ

パワーシェアリングの
バランシンググループ

インバランス発生のリスクやコストを削減!