第十五回 ~日本最大のバイオガス発電プラントとエンジニアリング会社と
      ドイツ人が不思議に思う日本人のこと(下)

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 
 さて、上下二回にわたる日本最大のバイオガスプラントのお話です。先ほどちょうど(書いているのは、9月25日)、試運転が順調に進んでいるという現地のドイツ人エンジニアからメールが入ったばかりです。9月末に盛大な開所式を行い、10月初旬には実際に原料を投入しての運転を始める予定と書いてありました。

 さて、日本最大のバイオガスプラントで行ったエンジニアリングとは何だったのでしょうか。ちょうど、プラントの技術的な最終点検に私も立ち会ったので、そのあたりの話から始めましょう。
 バイオガスプラントは大きく分けて、原料の受け入れ、発酵、ガスの精製、発電のパートでできています。立地や原料条件に合わせてそれぞれ得意なメーカーさんがいます。さらに、プラントをつなぐパイプやバルブ、コントロール機器など全体を構成する要素は多岐にわたり、それぞれサプライヤーさんがいます。
 エンジニアリングとは、これらの多くの要素を最適化することです。最適化には技術的なものとコストの2つがあります。より良い技術を使うのはプラントとして当然ですが、コストが跳ね上がっては事業性に影響します。エンジニアリングはこのあたりをうまく合わせていくという重要かつ難しい仕事になります。

 試運転直前の最終点検を、私はドイツ人のエンジニアと一緒に行いました。彼は、バイオガスプラント専門のドイツのエンジニアリング会社から来ています。今回のプラント全体のエンジニアリングはその会社によるものです。
 プラントを見ていくと、発酵槽はドイツの××社、発電施設はドイツの○○社と大物でも全部違う会社のものですし、バルブはスウェーデン製、圧力計は○○製と見事に寄せ集めてありました。可能な限りのベストの技術をできるだけ安く構成するという意味がよく分かりました。
 実際に建設を行った元請け会社とのやり取りで、ドイツ人のエンジニアが「私たちはあくまでもメーカーに対して中立である」「お客さんに無駄なお金を払わせてはいけない」と繰り返し言っていたのが印象的でした。メーカー主導になりがちなプラントの分野で、技術的な知識が少ないお客さん側に立つという姿勢が鮮明でした。
 このエンジニアリング会社はドイツでも有数のバイオガスプラント専門企業です。私も訪問の経験がありますが、それでもせいぜい数十人規模で中小企業レベルです。前にも書きましたが、こういった本来のエンジニアリング会社が日本ではあまりお目に掛からないのが、本当に残念です。

 バイオガスによる発電(コジェネが望ましいが)は、今後間違いなく日本で広がっていくでしょうし、広がらなくてはなりません。特に、どの地域にも存在する一般ごみなどを無駄なくエネルギー化することは、地域活性化につながるものです。また、地域エネルギー会社にとっても、重要な電源、エネルギー源になるわけで、場合によって自治体と組みながら積極的な開発が求められます。今回の福岡県朝倉市のプラントは、成り立ちやエンジニアリングン観点から見ても画期的なものなのは間違いありません。

 さて、おまけのようなものですが、そのドイツ人のエンジニアが話したドイツ人と日本人の違いです。彼は、このプラントなどの建設に関して日本とドイツを頻繁に往復していましたが、あまりに来る回数が多いため、今は、ついに日本(神戸)に住むようになりました。
 日本人は、よくドイツ人はまじめで良く働くから日本人と似ていると言います。もちろん、まじめなのはそうですが、全体で見ると私には違いの方が目立ちます。彼の話も同じで、しばらく住んでいるからこそ、気づくこともあるようです。
 象徴的なのが、建設現場で毎朝行われる体操です。ドイツ人から見ると本当に奇異に映るようです。朝倉の現場でも毎朝8時にあるのですが、彼は一度も参加していません。日本人にすれば、体調管理とみんなで一緒にやるという一体感の醸成のためと説明されるでしょう。彼にとっては、体調管理は自己の責任であり、一体感とは無理矢理何かを一緒にすることとは無関係だということのようです。
 彼には、日本人があまりに周りばかり見て自己を主張しないように見えるのです。とにかく、人に合わせる日本人の付和雷同性に驚くようです。一方で、彼に言わせると、ドイツ人は自己主張が強すぎるとなります。何度か話したのですが、彼の4歳の娘さんが強烈で手を焼いていると繰り返していました。NOと言ったら圧倒的にNOであって、周りが何を言おうとやろうと関係ないそうです。
 ドイツ人の自己主張は強すぎると思っているらしく、日本人と足して2で割るとちょうどいいと笑っていました。

 全く違ったような話を並べてしまいました。
 ただし、いわゆるグローバル化が進み、日本もその波にさらされています。今回のプロジェクトもドイツのエンジニアリングが日本でバイオガスの実用化に役立つ良い例でもあります。
 今の日本は内向きになりがちで各所でガラパゴス化のリスクをはらんでいます。もう一度、冷静に周りを見ながら、地元から問題解決の手がかりを作っていきたいと思います。地元を見直すことは決して内向きではありません。朝倉のプラントのように、課題解決に世界の知恵を使うことで、新たな道が開ける可能性が何倍にもなるのです。

以上

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