第十七回 ~失敗しない地域新電力の作り方(その2)
      供給に特化した地域新電力の機能

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 
 「エネルギー(電気)の地産地消」は、エネルギー費の流出を少しでも防いで、お金をなるべく地域に残すこと、それによって地域を活性化させるための基本コンセプトであることを前回は説明しました。その中で「地消」を行うために地域新電力がどうしても必要だと示したわけです。
地域新電力は、「エネルギーの地消のために、地元に電気を供給する地元に根差す会社」とでも定義するとよりわかりやすいでしょう。一方で、「地産」に関しては、地元資本を中心とした再生エネの発電会社が役割を果たすという住み分けを考えています。

ここは議論の余地が十分あるのですが、私は電気を供給する会社(地域新電力)と発電会社は区別しておいた方が良いと考えています。理由は、発電会社になるためは、まず発電施設という値段の高いインフラを自前で持つための大きな資本やファイナンス力が必要だからです。これは地元中心で作る新電力には大きなハードルとなります。実際に2メガワット程度の太陽光発電所を持つための発電会社を設立すると考えてみます。想定される建設費は5億円程度として、最低でも1億円程度の資本金の会社であることがお金を貸す側の金融から求められます。地元資本に対するプロジェクトファイナンス、担保なしのもし、地域新電力に自治体が資本参加を検討するケースであれば、この時点で挫折する可能性が出てきます。
ところが、電力の供給だけであれば初期投資は小さくて済み、身軽になります。電力を供給するだけの会社は施設などを持つ必要がほとんど無いからです。よって、私が立ち上げをお手伝いした地域新電力の資本は、平均して1,000万円程度です。会社を作るということは、責任や手間などだけでなく、資本金の拠出部分も大きな負担となります。その点では、地域新電力は参入しやすいビジネスと言えるでしょう。
また、確かに、FIT制度の元では、必ずしも再生エネの発電会社のリスクは高くはありません。しかし、PPSからの転換期に発電施設に巨大投資をして破たんした大手小売電気事業者の例もあります。地域新電力は、まず、より安全な電気の供給からスタートし、発電など他の事業からのリスクの切り離しを行うのが得策です。「地産」と「地消」はシステムを分けて、と考えましょう。

 では、発電部分はどうすればよいのでしょう。
 地元中心の発電会社を作るには、これまで書いたような高いハードルが存在します。メガソーラーや風力ファームがガンガン作られていた再生エネバブルの時期でさえ、地域の資本だけでできた再生エネ発電施設は少なく、ほとんどが小さめな規模のものばかりでした。多額の資本金を積むのは不可能に近く、いくら風況が良くても、日当たりの良い広い土地があろうと、銀行はお金を貸し渋りました。近所に外の資本による再生エネ施設が作られていくのを指をくわえて見ていた人も少なくないでしょう。

 本論とは少し離れますが、そこは、より現実的にならざるを得ないと思います。地域の発電会社をSPC(特別目的会社)としての立ち上げることを考えた時、地域新電力がそれまでに電力供給の一定の実績ができ、信用を気づいていれば、設立のイニシアチブを取ることができるでしょう。自らがSPCに資本の一部を入れること、地元で発電事業に興味を持つ民間企業を探すこと、また、ファイナンスを探し出す支援をすることなどで、設立実現に結び付けることです。また、より現実的になれば、資本のメジャーは地元連合で取るとした上で、ファンナンスを受けやすい与信の高い地域外企業を残りの資本用に連れてくることだって私はありだと考えます。100%の地産地消は理想ですが、オールオアナッシングでは、結局何もできない可能性があります。

 ここまでエネルギーの地産地消という目的達成のための、地域新電力という存在の意義と基本的な役割についてご理解が進んだと信じます。次回は、事業という観点から、電力供給事業をどう考えるべきなのか、取り上げたいと思います。
 地域新電力を作りたいのだけど、早く作り方を教えてくれ。という声が聞こえそうですが、もう少しお待ちください。基本のところを取り違えると、話が違うということになりかねません。

以上

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