第十八回 ~失敗しない地域新電力の作り方(その3)
      誰が地域新電力を作るのか

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 
 現在、私は全国各地、数か所で地域新電力の事業アドバイスや立ち上げ支援をしています。私にお声を掛けていただいているのは、大きく分けて2種類です。つまり、「誰が」に当たるのは、地元の民間企業、もしくは自治体です。ここが最も重要ですが、最終的には、両者が協力し合わないと、地域新電力はうまく運営できません。後でもう少し詳しく書きます。
 さて、都会からの進出型の小売電気事業者と違って、地域に新電力をつくるには、まずSPC(特別目的会社)を立ち上げるのが一般的です。その資本(株主)が民間企業であったり、自治体であったり、そのミックスであったりするわけです。そこで必ず通る道筋は、少し専門的な言い方をすれば、資本構成をどうするかということです。

 ここでは、二つの考え方があると思います。
 自治体が主導する新電力と民間が主導する新電力です。資本金との関係でいえば、自治体がメジャーなのか、民間がメジャーなのかということです。ところが、日本では一般的によく言われる自治体新電力は、自治体の資本が少しでも入っていれば、そう呼ばれているようです。これは、ドイツのシュタットヴェルケのほとんどが、自治体出資の割合が100%、最低でも過半数という資本構成なのに比べるとずいぶん違っています。日本でシュタットヴェルケの資本構成に似た条件を持つ自治体新電力は、福岡県みやま市、群馬県中之条町など10か所程度になってしまいます。

 私が進めている地域新電力のほとんどは、自治体の資本が入ってもマイナーです。地元の民間企業が主体となって、小売電気事業そのものをまず無難に運営します。その後、地域に役立つ(自治体にもプラスとなる)様々な事業(エネルギー関連から市民サービスまで)を展開するという考えです。
 もっとはっきり言うと、私はSPC(地域新電力)に参加する民間企業さんには、ぜひ自分の事業領域で地域新電力も利用してどんどん稼いでくださいと話します。それ自体が、地域の活性化になりますし、その核になる新電力が生まれることは、自治体が喉から手が出るほど欲しいと思っている地元での新しい企業の誕生とイコールなのです。

 民間主導の地域新電力では、主体的に事業を行う会社が株の51%以上を持つことを勧めています。誰がやるかということを株数で明確にしないと、結局、事業は進まないし、金融も含めて信用してもらえないことが多いと思います。方針などがもめた時には、メジャーを持つところが決断をする仕組みは重要です。もちろん、一社だけでSPCを作ると、オール地元という風には見えないので、地域の協力が望めなくなります。よって、地元の有力な会社が何社か、特に地元の金融機関を必ず誘ってください。事業運営が格段にスムースになります。
 そして、最も肝心なのが、自治体の協力を得ることです。最も望ましいのは、小さくても良いので、資本参加することです。自治体と硬い連携ができれば、一定規模の電力の供給先を確保することができるだけなく、信用力が圧倒的に違ってきます。SPCの資本金合計はせいぜい1,000~2,000万円なので、5%を入れても、50~100万円にすぎません。万が一事業がうまくいかなくても、それだけの損失です。億単位のお金が消えていった第三セクターの悲劇とは比べようもありません。

 一方で、自治体が51%以上の資本を取る、まさしく自治体新電力ももちろん意味があります。そこまでの覚悟を決める自治体さんの心意気はぜひ買いたいと思います。ただし、必ず事業ができるパートナーをSPCの中に入れる必要があります。それは、民間企業になりますが、可能な限り、地元の企業をピックアップしてもらいたいと思います。最近、大きな東京本社の企業などと組んで自治体新電力を立ち上げるケースも見られます。信用力が欲しい気持ちもわかりますが、その企業をよく見極める必要があります。お手伝いに名を借りて、利益の大部分を持っていってしまうところ、自分たちの製品(発電プラントを含む)を高く売りつけるところなども散見されます。
 私は、100%地元純粋主義は取りません。それは、やはり地元だけではカバー出来ない部分があるからです。例えば、エネルギーの地産地消を目指し地元資本の太陽光発電所を地元に建設する人があっても、太陽光パネルを自分で作る人はいません。事業をうまく回すこと、その中でいかに地元にお金を残すのか、知恵を働かせてください。技術やファイナンス力、信用力などは、うまく地域外の力を使えばいいと思いますし、そのために、地域外の資本がマイナーで入ってきても問題ないと考えます。

以上

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