第二十回 ~失敗しない地域新電力の作り方(その5)
      まとめてわかる5つのポイント(1)

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 
 さて、2017年も押し詰まりました。気が付くとコラムも10カ月になりました。
 本コラムと似通った「失敗しない地域、自治体新電力の作り方」というテーマで、年末に講演を行う機会が複数ありました。比較的小さなスペースではありましたが、希望者が殺到してお断りするほどだったと主催者から聞きました。地域、自治体新電力をビジネスに結び付けようという企業やもちろん地域の方々からの参加が多くみられました。
 
 コラムのこの連続シリーズをいったん終息の方向に持っていこうと思います。個別にはまだたくさんのテーマがありますが、ひとつひとつはそのたびにピックアップし書いていくことにしましょう。
 そのため、これまでの議論も踏まえて、わかりやすく5つのポイントにまとめてみました。長くなりそうなので、2つに分け、2018年へ年を越えてお届けします。

1.地元中心の資本構成、地元資本で過半数確保
 地域新電力を作る時に最も重要なことは、これまでお話しした様に何のためにやるかという目的です。私は、エネルギーの地産地消から地域活性化につなげるというのが最終目標と考えます。それでは儲けてはいけないかと思うかもしれませんが、それは違います。どうぞ利益をたくさん出していただきたいのです。地域の会社が儲かれば、結果として地域が豊かになるのです。地域新電力は、地域で創る新たな利益の源泉なのです。
 そのためには重要な前提条件があります。本当に地域の会社であることです。それをこの第1番目のポイントで示しています。つまり、資本が地元中心であることです。最低でも過半数は地元の資本で確保してください。地域新電力の資本が地域外の資本であれば、稼いだ利益はみんな外へ流れ出します。地域からのエネルギー費の流出を削減することは出来ません。
 もうひとつ忘れてはならないのが、地域新電力を誰が実際に運営するかです。需給管理などアウトソーシングした方が効率的なものはいくつかありますが、営業や管理事務は自らが汗をかく必要があります。ここでは結論だけ書きます。実質運営する会社がぜひメジャーの資本を出し、さらには51%以上であるのが理想的です。複数の資本が集まる可能性が高い地域新電力では、要所要所に決断の場面がやってきます。その時に即決できる体制が望ましいと考えます。
 資本構成は、新電力を作るに最初の段階で最も重要で、難しい要素です。ここで苦労しているケースがたくさんあります。特に自治体の資本をどうするかがキイになります。事業を安定させるためには、やはり大口の電力供給先を確保することが一番です。学校や文化施設、公民館など負荷率が低い施設をたくさん抱えている自治体と組めれば、不安なくスタートが切れます。つもり、最も強い組み方は、自治体の資本参加です。
 ところが、自治体側は、第三セクターの失敗もあってなかなか資本参加に踏み切りません。メリットをじっくり説明し、出資額のコントロールや協定の締結から始めるやり方など各種あります。結局、時間がかかるケースが多いのですが、我慢のしどころです。
 もうひとつ、資本参加するとよいのが地元の金融機関です。月々の運転資金の確保、新たな投資のための融資、何より地域新電力の信用性がぐっとアップします。さらに、その金融機関が良い供給先を紹介してくれることもついてきます。いいことずくめのようですが、こちらもそれほど簡単ではありません。自治体が資本を入れるという条件が付くこともあり、蛇とカエルのにらみ合い状態に陥ることも良くあります。
  
2.資本金、固定費を小さくスタート
 ここで言いたいのは、事業リスクの最小化です。まず資本金からです。小売電気事業は薄利多売の事業ですが、小売りに特化していれば初期投資はごく小さくて済みます。例えば1,000万円くらいの資本金で充分始められます。これは参加を要請する自治体にとっても大きなメリットです。私が関わって資本参加を決めたある自治体の場合、50万円の出資で出資率5%でした。議会の承認を得たばかりですが、各会派の全会一致となりました。この額であれば、第三セクターの失敗の影は感じないようです。
 資本金を小さくすると、例えば発電などの大きな事業を直接行うことは困難です。小さな資本の会社に巨額の融資はあり得ないからです。この解決方法として、将来、発電事業を行うとすれば、別会社で行うことを勧めています。その際には地域新電力が発電事業体の資本の一部を入れることで、事業にコミットすればよいと考えるからです。性質上、安定性が何より求められる小売電気事業は、他の大型投資事業と切り離し、どこまでもリスクを低減させることが肝心です。
 ここでいう固定費は、営業などのいわゆる一般管理費と新電力の場合は需給管理の費用になります。営業は収益に直結するので雇用の点からも増やしたいのですが、多すぎると事業を圧迫します。最初はできるだけ少数精鋭で頑張りましょう。
 一方、需給管理に関しては、前回のコラムでお話した通りです。スタートから自前の需給管理を行うのは、事業性を考えてまず無理です。それによって利益が出なくなるのでは本末転倒です。インバランスの管理や合理的な調達の観点からも需給管理のアウトソーシングはメリットを持っています。この点は、また、別の機会に詳しく述べる予定です。

だいぶん、長くなってしまいました。残りの3つのポイントは年明けです。
簡単ですが、今年もお世話になりました。良いお年を。

以上

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