第二十一回 ~失敗しない地域新電力の作り方(その6)
      まとめてわかる5つのポイント(2)

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 
 皆さま、あけましておめでとうございます。
 今年も、本コラムをよろしくお願いします。

 さて、本コラムのシリーズ「失敗しない地域の作り方」の取りあえずのエンディングとなりました。新年早々最終回というのもなかなか粋ではありませんか。
さて、年越しで続けた“作り方の5つのポイント”の後半、3から5までです。

3.事業性が第一 形を目指すのではなく、黒字を目指す
 地域、自治体新電力は事業です。ボランティアでも慈善事業でもありません。あくまでもビジネスですから、赤字になれば続かなくなります。以前各地で失敗したいわゆる第三セクターでは、住民のためだから、自治体のサービスだから赤字になっても仕方がないという甘えから、負債が雪だるま式に膨らんでたいへんな事態を招いた例がたくさんありました。そんなことを繰り返してはいけません。どうすれば黒字になるかをきちんと考えながら収支計算をしていく必要があります。
 最近、自治体新電力をドイツの都市公社シュタットヴェルケに例える傾向が一部で見られます。私自身があちこちでシュタットヴェルケの紹介をしていましたから、私にも責任があるかもしれません。しかし、これまでに述べたように、シュタットヴェルケはその成り立ち、歴史、所有するインフラ、規模など日本の自治体新電力とは大きく違います。それらを踏まえたうえで、どこをどう取り入れるか慎重に考える必要があります。
 繰り返すようですが、需給管理を自前でやることが自治体新電力の要である、市民サービスを行わないとシュタットヴェルケにならないなど、形ばかり気にしてはあっという間に事業性を失います。結局、地域の経済循環や地域活性化にたどり着く前に破たんしかねません。すでに、ある自治体新電力はレストラン経営に乗り出して、大きな赤字を生み出しています。
 「活かすのは、シュタットヴェルケの形ではなく、シュタットヴェルケの理念やコンセプト」と肝に銘じてください。

4.事業に広がりを持たせる
 小売電気事業者登録とは、電力供給を行うための資格の登録です。ですから、新電力は、まず電気を売ることでその事業を成り立たせることになります。ここで焦って前項のような間違いに陥らないことが大事ではあるのですが、一方で、電気だけの小売事業に終わらないことも重要です。
 ここには、2つのポイントがあります。
 一つ目は、エネルギーは電気だけではないという事です。エネルギーの地産地消によってエネルギー費の地域からの流出を防ぐためには、電気以外の熱、交通エネルギー費の流出も削減する必要があるのです。事業性の観点から熱などの事業には入りにくい現状がまだあります。しかし、コストパフォーマンスのよい設備の開発やすでに事業として成り立っている実例が国内でも見られるようになってきています。さらに、交通革命は車と社会の関係を根本から変える可能性を示しています。シェアリングを組み合わせることで、すぐにでも始められる部分もたくさんありそうです。
 もうひとつは、電力供給だけでは事業の拡大に限界があるという事です。エリア内の対象となる供給先は当然ですが限りがあります。これを越えて他地域に営業を拡大していくと、拡大先エリアでの地域エネルギー会社と衝突してしまいます。そもそも、地産地消と地域活性化をそれぞれの地域新電力が地域内で頑張って行こうという基本コンセプトに反することになります。すでに一部の地域、自治体新電力は他の地域に進出することで生き延びようとし始めています。残念なことです。
 後ろ向きの話はここまでです。実際には、すでに述べた熱や交通エネルギー事業だけでなく、他にも多くの地域でのビジネスがこれから目白押しです。省エネなどエネルギー効率化はもとより、再生エネを取り込むための柔軟性ビジネスは、今後のエネルギービジネスの主流になります。例えば、欧米では当たり前になっている屋根置き太陽光発電の第三者所有モデル(いずれゆっくりお話します)は、地域新電力との組合せがぴったりです。また、蓄電池導入は目の前ですから、ここに地域新電力が絡まない手はありません。その他、発電、また、事業性を前提とした住民サービスやEコマース、ブロックチェーンを駆使した地域通貨など、多士済々です。電力供給ビジネスは地域のエネルギー事業のごく一部でしかないことがよく分かっていただけると思います。

5.電気の安売り競争に陥らない
 旧電力会社の反攻勢によって、自治体施設や民間高圧需要家への電力安売り合戦が目立つようになりました。旧電力会社は、原発再稼働が進まないなど苦しい台所事情があるとはいえ、巨大資本ですから安売り競争に耐えうる体力があります。ここと値段で立ち向かっても歯が立つわけはありません。
 立ち向かえる要素は、新電力が持つ付加価値です。残念ながら、東京などを本拠とする新電力のほとんどは、値段で勝負するしかなく、価格以外のアピール力が無い会社はいずれ消えていく運命かもしれません。
 その点、地域、自治体新電力は、地元という最大の付加価値を持っています。おらが町の電力会社という事です。なんだそんなことと思う方がいらっしゃると思います。ところが、ドイツのシュタットヴェルケは、地元での顔が見えるサービスを基本に、電力小売自由化後も地元への圧倒的な供給力を保持しています。これが、シュタットヴェルケの本当のコンセプトです。
 もちろん地域に生きる新電力としてのきめ細かいサービスやアピールなどの努力が必要です。それは、地域、自治体新電力しかできません。
 同じ新電力でも、隣町に行けばよその電力会社になります。そこは安売りしか通用しない場所です。だからこそ、地域の中での事業だということを忘れずにいて下さい。

以上

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