第二十二回 ドイツからのコラム (1)
      電気、熱、交通での再生エネ利用

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 
 1月の28日からドイツに来ています。ドイツの経済の中心であるNRW州の州都デュッセルドルフに入りました。主なテーマは水素です。日本では特に東京都がオリンピックに向けて水素を活用する取り組みを熱心に進めています。ザクッといえば、その関連でドイツの実際を見に来たという事です。ということで、今回のコラムはドイツから発信します。
 ただし、水素に関してはかなりややこしい背景や実態があるので、このコラムでは特に取り上げません。ドイツの再生エネ全体の進み具合を、現地からまとめてお話することにします。
 今回ドイツに来てまず一番驚いたのは、すごく暖かいという事です。しばらく住んでいたのでドイツの冬の厳しさは良く知っています。ところが、到着した日から毎日最高気温が二桁です。南部のミュンヘンでは15度近くまで上がったようです。この時期は零下になるのが当たり前なのでとんでもない暖冬です。ドイツ人に聞くと、CO2が増えたことによる気候変動で、ドイツ中部のこのあたりでもワインが取れるようになるんではと笑えないジョークを返してきました。

 さて、年が明けて2018年です。昨年のドイツの発電の状況に関するデータの速報値が相次いで発表されているので、それからお話しましょう。
 ドイツで最大、世界でも有数の研究機関フラウンホッファー研究所のまとめでは、昨年の発電のうち、再生エネによるものが38.5%と4割に迫るものだったことがわかりました。2016年に比べて5ポイント近くの伸ばし、特に風力発電の増加が目立っています。風力発電は、電源別で褐炭につぐ第二位の規模となり、再生エネの中でも、バイオマスの2倍、太陽光の3倍近くと際立っています。再生エネによる発電は、目標では2050年に全体の80%となっていて、それに向かって着実に拡大していることを示しています。
 
 何度もお話している様に、私たちが最終的に使うエネルギーの形を考えた時、電気は全体の4分の1にすぎません。熱の形が半分程度、交通エネルギーが全体の3分の1あります。電気だけ考えていてもエネルギー問題の解決にはならないのです。
 日本ではドイツの再生エネというと電気のことばかり取り上げられますが、熱や交通エネルギーについても、ドイツでは気にしていますし、遅ればせながら対応を進めています。あまり、日本では出てきませんが、そのあたりの数字をお見せしましょう。
 まず熱のうち再生エネによるものの割合は、およそ10%です(2014年が9.9%)。この10年でおよそ4ポイントしか増えていないので、緩やかな伸びです。問題は交通です。2014年は5.4%です。この数年はほぼこの水準で、2007年にはいったん8%程度あったので、逆に再生エネの割合が下がってきています。
 エネルギー全体(電気、熱、交通すべて)での再生エネの割合は、2015年に12.5%にしかならず、電気以外の部門の遅れ、特に交通での足踏みが顕著になっているのです。ドイツは、国土をカバーする無料の高速道路アウトバーンに代表されるように自動車大国です。このエネルギーを何とかしない限り、交通エネルギーの課題解決は望めません。フォルクスワーゲン社のデータ偽装が発覚する前までは、ディーゼルエンジンが将来にわたっての主役と考えられていたので、再生エネから見るとお先真っ暗の状態でした。データ偽装がディーゼルを主役から引きずり下ろし、ご存知のように今はあっという間にEVが表舞台に飛び出した状況です。
 ところで、EVが環境に優しいか、CO2削減に結び付くかどうかは、その電気が何によって作られるかによって全く違います。日本では、EVに対する評価がまだまちまちで、ガソリン車に比べて必ずしもCO2削減に結び付かないということを書く識者もいます。ドイツでは、EVの燃料となる電気は再生エネによるものであることが原則です。それが当たりまえなのです。日本の記事を書いた人間は、化石燃料による電気を使うことを想定しているようですね。ドイツでさえ、熱や交通は取り組みがスタートしたばかりのイメージです。そろそろ、日本でも電気以外のセクションでの対応を真剣に考えなくてはいけません。」

以上

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