第二十四回 地域新電力と熱供給

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 今回は、新電力には似つかわしくない(?)熱のお話です。
 まず、熱はどう使われ、どう運ばれるのか、から考えてみましょう。欧州の例などを見れば、熱は家庭などの暖房やシャワーや炊事の利用として使われ、地域熱供給と繋がっている場合は、熱導管という温水を通す管で送られて来るのが一般的です。
 電気は、遠く離れた場所へでも送電線を通じて、割合簡単に送れます。もちろん、送電ロスといって、遠ければ遠いほど実際の需要先に届く電力量は少しずつ減っていきます。ただし、熱の場合はそのロスが電気の比ではありません。途中で失われる量が半端ではないのです。よって、熱は遠くまで運べない、というか、途中で消える分がもったいないので送らないことが多いのです。
 何が言いたいかというと、熱こそ、創る場所と使う場所が近い、地域密着型、つまり、地域新電力とは親和性が高いのです。

 日本の場合、熱は使われるところで作るケースがほとんどです。家庭のエアコンによる冷暖房、灯油などを使ったストーブ、一昔前は夜間電力を使ってお湯を夜に作り昼間使うことも流行りました。家以外でも、野菜や果物を栽培する温室や工場などで、重油や灯油などを炊いて熱(温風、温水、蒸気など)を作ることも普通に行われています。ただし、熱の原料は圧倒的に化石燃料です。
 ところが、近年CO2を大量に排出する化石燃料からの脱却が求められるようになって、熱にも木質バイオマスや太陽熱などの再生エネを利用することの必要性が増してくると、事情が変わってきました。特にもともと集中暖房の方式が取られていた欧州などでは、建物の中の配管はそのままで燃料を重油などから木質バイオマスに転換することが始まりました。また、地域丸ごとの熱供給も同様に再生エネで行うことが急速に増えています。例えば、デンマークのコペンハーゲン市では、98%が地域熱供給システムになっています。

 さて、再生エネの電気で4割近くの需要をカバーするまでになったドイツでも、熱に占める再生エネの割合は、10%台でしかありません。まだまだこれからなのです。やはり、コストの問題、特に燃料供給が大きいのです。
 日本でもこれからのテーマですが、一部では良い技術が導入され、コストダウンが進んで採算性が取れるケースも出てきました。
 技術的に言うと、木質バイオマスの効率の良いボイラが開発されたり、外国製の小型の木質バイオマスのガス化技術でのコジェネが稼働したりというものです。
 熱だけの利用でも、例えば、岩手県久慈市のシイタケ栽培の温室では、バーク(樹皮)だけを使ったボイラでの熱供給事業が順調に行われています。ここでは夏は冷房利用をしています。コジェネでは、固定価格で電気を買ってくれるFIT制度にまだ頼ってはいますが、熱も利用することで、全体の事業が成り立つケースも見られます。
 いずれもすでに書いたように、地域性の高い熱を地元で使い切ることが前提です。私が立ち上げをお手伝いした地域新電力では、電気の供給事業が安定すれば、次に熱供給にも関わって行こうとしています。特に森林資源のある地方では、林業も含めた地域経済の循環へと繋がる大変良い取り組みが期待できます。

 電気、熱と揃えば、次は交通です。
 何度も書いていますが、最終エネルギー消費の形態は、日本では、電気=25%、熱=40~60%、交通=33%くらいです。特に地方では、公共交通機関が少なく、車(ガソリン)に頼ることが多いのが現状です。今後は、急速にEVが増えて、その燃料となる電気を再生エネなどによって地元で作れるようになります。自動運転やシェアリングとの相性も良く、いわゆる交通革命が地方から進んでいくことになります。(交通の話はまた別の機会でさらに詳しく書きます。)
 そのキイとなるのが、地域新電力(地域エネルギー会社)という訳です。
 決して遠い夢ではありません。世界では、すでにこの新しい交通ビジネスの激しい競争が始まっています。

以上

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