第二十五回 再生エネを巡る空気

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 今回は、「空気」のお話です。
 先日、東京で開かれたある団体のシンポジウムを覗いてきました。その時に耳にしたこと、感じたことをまとめておきたいと思います。

結論からお話しましょう。
再生エネを巡る空気が、国内でも大きく変わり始めたという事です。
このシンポジウムには、かなりお金がかかっています。都内の一流のホールを貸し切り、世界中から有名な学者さんなどをたくさん呼んできます。また、必ず経産省の再生エネ担当の部長さんが挨拶しますし、今回は外務大臣が来賓です。

さて、河野外務大臣は予想に違えず『日本の再生エネは悲しい状況』と、先日のアブダビでのコメントを繰り返しました。念のいったことに、わざわざ「lamentable」とアブダビで使った「悲しい」という英語まで紹介しました。
そして、最後に登場したのが、エネ庁の省エネ・新エネ部長さんでした。昨年の部長さんは、日本の最新技術として石炭発電を自慢し、失笑されました。今年は、はっきりと、『再生エネを主力電源』、『再生エネの大量導入』という言葉を使って、やや持ち直した感があります。ただし、エネルギーミックスが重要、現状の再生エネの数字に向けて努力するとの表現にとどまりました。

急速に進む世界のエネルギー情勢が、少なからず日本に影響を及ぼしているのは間違いありません。世界では、原料費のいらない太陽光や風力発電のようなVRE(可変的再生エネ)に注目が集まっています。今後、VREが急激に価格を下げるのは確実です。今、世界で行われている競争は、どれだけ多くのVREを取り込めるかです。日本でも、このままでは世界の潮流に乗り遅れて、取り返しのつかないことになるのではという恐れを感じる人が増えてきています。その表れのひとつが、先の日本のお役所の方々の発言だと言えるでしょう。

シンポジウムの最後に、一種、悲鳴とも響くような発言がありました。日産自動車の企画・先行技術開発本部技術企画部エキスパートリーダーという長い肩書の女性の声は、日本が直面している危機を経済界から見事に指摘しています。彼女は、再生エネ電力で走るEVの利点を力強く説明したうえで、次のように話しました。
「いくら電気自動車(EV)そのものがCO2の排出が少ない交通手段であっても、車を生産する場所のエネルギーがクリーンでなければ、世界での競争力は保てない。日本が、いつまでも現状のままならば、日本は世界のバリューチェーンから外されてしまう。」
例えば、こういうことを想像してみましょう。ある自治体が工業団地を作って企業誘致を行おうとしています。水、電気を安くしたところで、そこで使われるエネルギーがクリーンで無いと相手にもされないということです。事態はもっと深刻です。クリーンなエネルギーを供給できなければ、いくらそこで物を作っても買ってもらえない事が起きるというのです。
経済的な危機は目の前に迫っているのかもしれません。お役人、企業が空気を換えていけば、単なる数字でしかないエネルギーミックスなど簡単に変えることができるでしょう。

以上

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