第二十六回 地域新電力の種類① やめエネルギー

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 私がこうしてコラムを書いているのは、地域新電力が地域の活性化に役立つと信じているからです。そして、すでに数社の地域新電力の立ち上げのお手伝いをし、さらにその数を増やしつつあります。
 こういう経験を通して、いつも思うのは、どの地域新電力も一つとして同じものが無いなあということです。つまり、ある成功例を他でコピーすることができないのです。これは、私のようなコンサルタントにとっては、困ったことです。簡単に数をこなせないのです。(笑)一方で、どのケースでも教えられることがたくさんあります。手間も苦労も多いのですが、出来上がった時の喜びはひとしおです。
 
 今日のお話しは、そんな地域新電力の多様性についてです。
 勘違いして頂きたくないのは、違いは形式だけではないことです。つまり、自治体の資本が過半数入ったシュタットヴェルケ的な新電力や民間だけで作った新電力という形の違いとはまた別の多種雑多なものの存在です。これは、少なからず地域の特性、土地柄や気質なども深く関連していると思われます。
 実は、形式よりもこの多様性の方が重要なのです。コピーができないのは、コピーが難しいのではなく、コピーする意味が無いのです。そう、成功例をコピーしても、成功しないのです。最終的に必要なのは、その地域に適した独自の地域新電力だということ忘れてはいけません。

 さて、そういう観点から具体的な例を見てみましょう。
 一つ目は、福岡県八女市にある「やめエネルギー㈱」です。やめエネルギーは昨年の1月に設立されました。5月には大々的に事業開始の記念式典を開き、地元のマスコミにも大きく取り上げられました。
 この地域エネルギー会社(自らエネルギーと称している)の最も大きな特徴は、地元八女の民間企業73社の資本でできているというところです。
 より多くの地元の方々が参加するというのは、もちろん悪い事ではありません。ある意味で理想的ともいえます。しかし、それが常にプラスに働くかというとそう簡単ではありません。数が多ければ参加のモチベーションも様々です。また、責任が分散されがちなので、資本を出してもいつまでも他人事という企業もあるでしょう。また、誰がどう運営するかという実務の面で不安定になる可能性があります。
 やめエネルギーでは、中心となる複数社とサポーター的な多くの地元企業というように、役割を分けています。具体的には、地元の太陽光発電施設の設置会社が最も多く出資を行った上で核となり、実際の小売電気事業を回しています。

 立ち上げなどを手伝った私から見ると、やめエネルギーが現在の活動を続けているモチベーションは、地元を何とかしたいという熱い気持ちだと思います。スタートは華々しかったものの、小売電気事業を安定させるために重ねてきた苦労は、一言では片づけられないものです。そして、今後の道のりも決して平たんではないでしょう。
 かれらの目指すものは、単なる電気の小売事業ではありません。やめエネルギーの中核会社は、すでにトマトの栽培に手を染めていて、さらなる品種拡大と再生エネによる農業への熱利用を検討しています。また、本業の太陽光発電では、やめエネルギーと手を携えて、新しいビジネスモデルを手掛けつつあります。最終的に、地元に仕事や雇用を増やし、元気な八女にしたいと真剣に語ってくれます。

 新電力がビジネスになると、中央資本が鎌首をもたげて地域に入ってきたのがつい2年前でした。いくつかの新電力が「安い」を掲げ急成長しましたが、旧電力会社の反転攻勢で多くの顧客と利益を失いつつあります。
 安価を付加価値としても、巨大資本には太刀打ちできないということかもしれません。別の武器(付加価値)を持つことが、生き残りの鍵だと私は考えています。それが、地域貢献です。もっと泥臭く言えば、「地元愛」です。経済的には地域での経済循環ですが、地元の奴がやっている電気を使ってやろうという気持ちです。
 やめエネルギーが発散する地元への情熱は、実はしっかりした付加価値だと確信します。そして、それは意外に強い力を持っているのです。

以上

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