第二十九回 「再生エネが主力電源」で地域新電力は急激に活性化する②

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 引き続き、再生エネ主力電源化が地域、または地域新電力にどんな影響を与えるかというテーマです。今回はより具体的なお話です。
 
 まずはこんな例を見てみましょう。4月17日に政府が「第五次環境基本計画」を閣議決定しました。これは、今後およそ5年間の環境施策の基本的な方針を明らかにするもので、環境省の取り組みの指針となるものです。
 この柱となるのは、温暖化対策としての再エネ・省エネです。中でも、「地域のエネルギー・バイオマスの最大限の活用」は、より直接的に今後、地域がエネルギーの主役となることを示しています。具体的には、まず「○地域資源を活用した再生可能エネルギーの導入」における地域のエネルギー収支の改善、つまり流出エネルギー費の削減です。また、はっきりと「○地域新電力の推進」が掲げられました。
 再生エネの主力電源化がこのような環境施策を導き出し、これらの環境施策が無ければ主力電源化は達成できないということで、両者は密接不可分なものと言ってもいいでしょう。

 もう少し詳しく考えてみましょう。
 良く知られているように、再生エネ電源はエネルギー密度が低く、ひとつひとつの発電施設の容量が小さいのが一般的です。薄く広がる特徴があるために一定規模の土地が必要です。都会ではなく地域でこそ花開く電源と言い切っても良いでしょう。言い方を変えると地域の協力なしには大量導入は不可能ということでもあります。
 実際に、FIT制度(固定価格買取制度)の導入後に急速に増えた再生エネの発電施設のほとんどは、地方に作られています。ところが、その発電施設を保有しているのは、都会からの中央資本が圧倒的に多いのが現実です。例えば、風力発電施設の容量が9年連続で日本一の青森県では、設備の97%が県外資本によるものです。太陽光や木質バイオマス施設でも似たような状態が各地で見られます。中央と地方と圧倒的な資本力の差が背景にあることがその大きな要因です。
 固有の資源をやすやすと利用され、大半の利益が地域外に流れ出している現実に、そろそろ地元は辟易(へきえき)し始めているのも現実です。

 今後、国が再生エネをさらに大量に導入して主力電源化するには、地元のモチベーションを大きくポジティブに変えなければなりません。そのためには、環境省の指針のように、流出エネルギー費を削減して地域経済を立て直すことや地域新電力を推進することをうたうしか手は無いと考えます。
 今後はこのような施策がどんどん取られると確信しています。エネルギーの地産地消を進めるための旗手として地域新電力の立ち上げには様々な支援が行われるでしょう。また、再生エネ施設の拡大の肝となるファイナンスでは、金利の安い借りやすい融資が検討されることになるでしょう。一方で、再生エネ施設や新電力への融資にかなり積極的になっている地銀や信用金庫など地域の金融機関はすでに珍しくなくなってきています。地域がエネルギーの主役になる条件はどんどん整ってきています。

 前回のコラムで書いたRE100企業の急拡大は、地元が主導権を握る大きなチャンスです。先日行われた世界中から著名人を招いた国際的なセミナーで、日産自動車からの参加者は再生エネ電源で作った製品でないと評価されず、再生エネ電源抜きではサプライチェーンから外される現実が目の前に迫っていると危機感を露わにしました。再生エネ電源が無い場所を、世界の有力企業が見捨てる時代はもう目の前です。
 地域の再生エネ資源を開発する最初の権利は、基本的には地元にあります。また、その電源からの電気を最も効率的に扱い、地元に利益をもたらすことができるのは地域新電力だけです。堂々と自らの手で開発し供給する再生エネ電源(FIT電源を含む)は、地域への有力企業の誘致の切り札になることを忘れてはいけません。自信を持ちましょう。風は私たちの後ろから強く吹き始めているのです。

以上

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