第三十回 地域新電力の種類② 青森県民エナジー

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 しばらく時間が空いてしまいましたが、地域新電力の種類の2回目を書きましたのでお届けします。私が立ち上げなどのお手伝いをした地域の新電力を少しずつご紹介するものです。
 その心は、どの地域新電力もそれぞれに特徴が、つまり個性があって、ひとつとして似たような新電力が無いということを知っていただきたいのです。逆に、その地域に合った特徴を出していかないとなかなかうまくいかないということでもあります。前にも書きましたが、他の新電力のコピーでは成功しない事を示してもいるのです。
 
 今回は、青森県の青森県民エナジーです。地元の再生エネ発電事業者と青森県民生活協同組合とが資本を出し合って作りました。青森県で初めての県内の民間資本100%の地域新電力です。昨年の4月に小売電気事業への参入の発表を行いました。6月に低圧の顧客(一般家庭)、7月に高圧のお客さんへの電力供給を開始したので、おおよそ1年が経とうとしていることになります。
 最大の特徴は、県内資本100%に加えて、顧客のメインと想定しているものが生協の会員だということです。協力関係を持つ別の生協組織、県庁生協の加入者と合わせると15万人近い会員がいます。一方で、青森県内全域のいわゆる高圧の顧客もターゲットとしています。
 ところが、この一年近くで順調に電力の供給先として伸ばすことができたのは、高圧(低圧の事業者を含む)の方でした。新電力全体として、事業の採算が十分見込めるまでになったのは良かったのですが、生協会員の電力切り替えは、決してうまくいっているとは言い切れません。全国的に見て、同様に生協が新電力になるケースが少なくないのですが、加入する会員の切り替えは、ほぼどこでも事前の目標を下回っています。やってみないとわからない部分といえばそれまでです。しかし、想定するほど一般家庭の切り替えは簡単ではないというのがどこでも起きていることです。このあたりにも地域新電力の難しさがあります。

 青森県民エナジーのもう一つの特徴は、自前の発電施設を持っているということです。それも太陽光発電だけでなく、風力発電もです。正確に言うと、施設を保有するのは県民エナジーそのものではなく、関連したいくつかの会社やNPO法人ですが。いずれにせよ、FIT電源として利用するのにそれほど難しくない手続きで行えるほぼ自前の電源です。これは、大きな強みです。
 FIT電源とは、太陽光や風力発電などの固定価格買取制度を利用している発電施設のことを言います。日本では、賦課金が支払われるFIT電源は、再生エネ電力ではないという不可思議な理屈になっています。それでもFIT電源率と言って、オリジナルとして再生エネに繋がる電力の割合を重要と考える人たちがたくさんいます。FIT電源率が高いことが大きなアピールになるケースも少なくありません。
 実際に、青森県民エナジーではそのFIT電源率の高さがPR効果に結び付いています。前述した様に、県民エナジーの調達先には風力発電があり、関連するNPOの保有する1メガワットの風車が稼働しています。このおかげで、昨年の風車ががんがん回る時期の11月には、月間のFIT電源率93%という非常に高い数字を記録しました。それをプレスリリースにしたところ、複数の地元のマスコミが取り上げてくれて、「新電力出だし好調」などと良い宣伝になりました。
 PRだけではありません。前回まで続けたコラムのように、再生エネが主力電源になる今後はFIT電源を含めた再生エネ電源は、顧客獲得の切り札になる可能性が十分あります。実質的な営業戦略や「FIT電源を含めた再生エネ電源」による新たな事業の展開など、青森県民エナジーは、再生エネ発電との組み合わせで全国の地域新電力の良き手本のひとつになると確信しています。
 青森県民エナジーの今後にぜひともご注目ください。

以上

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