第三十六回 地域新電力の種類 ③久慈地域エネルギー(下)

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 

 タイトルは、地域新電力の種類③の久慈地域エネルギーについて、ということになっていますが、今回は少し毛色が変わっています。
 実は、メインのテーマは「幸せ」です。

 少し回り道をしながら、テーマに入っていきます。
 地域、自治体新電力の将来を悲観する声として、一部の地域新電力の経営が必ずしもうまくいっていないということ、また、2020年には旧電力会社の総括原価方式が終わり、安売り攻勢が始まることを挙げる人が少なからずいます。
 コラムで何度も取りあげているように、もともと、地域、自治体新電力の提供する電気の付加価値は、「安売り」とは別のところにあります。地域内の経済循環を地域活性化に向けるという広い付加価値が「売り」なのです。ですから、現状でも安いことだけを看板にしないように新電力の営業では心がけていますし、実際に地元貢献を感じて電気の切り替えを行ってくれるお客さんは少なくありません。2020年問題は、安売りしか「売り」のない新電力には脅威でしょうが、もっと大きな価値を掲げる地域、自治体新電力には必ずしも恐れにはなりません。
 地域の外から見ると、この「地元意識」という価値は、何かふわふわしたとらえどころのないもののように感じます。それは、一時期もてはやされたあのブータンの「幸せ」に通じるものがあるような気がしてなりません。

 ということで、今回のテーマに向かいます。一般論が続きましたが、書きたかったのは、久慈地域エネルギーのエリアで、少し広い意味での地元となる岩手県の考え方との共通点です。つい先日発表された、岩手県の次期総合計画の素案にその考え方はありました。
 この素案で、岩手県の基本目標とされたのは、『東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き、復興に取り組みながら、 幸福を守り育てる希望郷いわて』でした。そして、目標を少しかみ砕いた考え方として、以下のように書かれています。
 『一人ひとりの幸福を守り育てる姿勢を、復興のみならず、県政全般に広げ、県民相互の、さらには、本県と関わりのある人々の幸福を守り育てる岩手を実現する』とあります。お分かりのように何度も「幸福」と書かれています。自治体を運営するため最重要と位置づけられる総合計画に、抽象的な「幸福」、「幸せ」が提示されるのは異色だということです。
 この目標を掲げる「岩手県における背景」として、「他人とのかかわり」や「つながり」を大切にする岩手の社会観があると謳っているのです。

 ここでは、幸せとは何かを細かく議論するつもりはありません。しかし、久慈地域エネルギーが掲げる「エネルギー地産地消の理念」や「地域、自治体エネルギー会社の理念」とそれが生み出す付加価値を考えたとき、県の総合計画の理念との共通性をその底流に見ることができると思うのです。
 もちろん、地域、自治体エネルギー会社は経済的な価値の地域への還流を目指しているので、それは数値化されることを前提にはしています。しかし、その先の地域活性化や地域外の新電力との差別化となる「地元意識」や「地元貢献」のような付加価値は、次期総合計画がよりどころにする「他人とのかかわり」や「つながり」を大切にする岩手の社会観と重なると言えるのではないでしょうか。
 地元を愛し、地元を大切にし、地元の衰退を悲しむ気持ちは、実際には私のような地域の外の人間が考えるより何倍も強いのだと思います。私は、久慈に限らず複数の地域、自治体新電力にたずさわる人たちとの度重なるやり取りでそれを感じてきているつもりです。
 安売り合戦とは一線を画したその付加価値こそが強みであり、これによってこそ、地域、自治体エネルギー会社は確実な生き残りをはかることができると確信しています。

以上

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