第四十一回 地域でVPP(仮想発電所)を考えてみる ~上、基礎編

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 

 VPPという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
 Virtual Power Plantという英語の略でバーチャルパワープラントと読みます。日本語では仮想発電所と訳されることが多いですね。

 資源エネルギー庁のWEBサイトでの説明を要約すると、次のようになります。
「工場や家庭などが持つ分散型のエネルギーリソースを、IoT(モノのインターネット)などの技術を活用して遠隔・統合制御し、電力の需給バランスの調整をする仕組みで、あたかも一つの発電所のように機能するもの」ということです。
 わかったような、わからないようなものですね。エネルギーリソースとは、ここでは発電施設のことです。重要なのは、一つ一つは小規模ですが、それを束ねるといろいろ役にたつという点です。

 どんな役に立つかというと、まず、あるところで余っている電気を足らないところに送るいわゆる電力融通ができるということです。
単純な電力需給の調整ということですが、案外これができていないのです。前号でも書きましたが、毎年、寒暖の厳しいときに騒がれる『停電を避けた綱渡り』は、大手の電力会社が長年地域間での電力のやり取りを行ってきていないことによる無用な騒動のケースが多いのです。

 もうひとつは、少し似ているのですが、電気が大幅に余る時に発電を止めたり、足りないときに多く発電したりという発電のオンオフをトータル管理で行うことです。これによって、送電会社の大規模停電のリスクを回避することが可能です。
 再生エネが拡大すると、一定ではない発電がたびたび各所で起きることになります。実際の需要も変動しますから、バランスが取れなくなる停電リスクに、場合によっては瞬時に対応する必要も出てきます。欧州では送電会社の指令によって、事前に発電のオンオフを申し出ていた会社(日本ではこれを、VPPで発電を束ねてコントロールするアグリゲーターと呼びます)が、発電調整を行うのです。このコントロール能力を、調整力と言い、そのものがビジネスになります。

 少し捕捉をしておきます。
 再生エネの一定でない発電と書きました。ここで勘違いしてはいけないのが、一定でないことは一方的に困るものではないということです。日本では、一定のことを「ベースロード」と呼んで、素晴らしいことのように取り上げがちです。前提として電力需給の同時同量ができなくなると場合によって停電を招くことは事実です。
 しかし、需要も大きく変動することを忘れてはいけません。つまり、供給が一定であることは決して万能ではないのです。原発はベースロード電源と呼ばれていますが、需要が少ない夜間に発電しすぎるため、わざわざコストの高い揚水発電所をたくさん作ることになりました。また、13か月に1か月間点検のため止まることなどから、予備として大量の火力発電所が建設されました。一定の発電をしても、余った電気をどうするか、止まった時の予備電力をどうするかで大きな『無駄』が発生しているのです。

 もうひとつの捕捉は、VPPと蓄電池との関係です。
 これまでのVPPのお話の中で、私は一度も蓄電池という言葉を使いませんでした。先に示したエネ庁の簡単な説明でも蓄電池は登場していません。
 日本でVPPが語られるとき、多くの場合蓄電池とセットになっています。再生エネの余った電力を蓄電池に貯めて後から利用することがそのままVPPかのような説明さえあります。これまで読んでいただければ、必ずしも蓄電池がなければならないわけでないことはご理解いただけると思います。
 複数の分散型の電源を使って需給調整をすることがVPPなので、蓄電池はその一つの要素になり得ることは間違いありません。ただし、ドイツなどのヨーロッパやアメリカなどではまだ蓄電池の価格が高く、VPPという需給調整ビジネスには使えていないのです。もちろん、いずれ蓄電池が安くなって、いわゆる「蓄電池パリティ」が達成されるのは時間の問題です。その時には蓄電池を使ったVPPは当たり前になるでしょう。

 さて、先ほど書いたVPPのメリットを具体的に言えば、日本で最近起きているエネルギーの課題の解決策のひとつと言えるでしょう。
 北海道のブラックアウトは電力の需給バランスが大きく崩れたことが原因でした。また、九州電力の出力制御は、再生エネ発電が需要を大きく上回ったために行ったとされています。すべてがVPPで解決するということではないのですが、VPPは需給バランスをうまく調整するためのツールとして使えることは明らかです。
 VPPの必要性がジワリとわかってもらえたでしょうか。再生エネ発電が日本で増え、課題が実際に表に出てきたのが北海道と九州の例です。その対応にVPPが必要とあれば、これはビジネスになると考えるのが自然の流れです。

 長々と書いた本コラムの結論に入ります。
先ほど日本では小規模の発電施設を束ねる役割を果たすのが、アグリゲーターと呼ばれると書きました。つまり、これがVPP事業者です。
言いたいのはここです。アグリゲーターこそ、地域の電力の調達と供給を扱う、地域新電力が適任だということです。
 さて、下の応用編に続きます。乞うご期待。

以上

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