第四十二回 地域でVPP(仮想発電所)を考えてみる ~下、応用編

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 
 さて、前回のコラムでは、再生エネ電力が増えてくると電力需給バランスの課題が増加し、解決策としてVPP(仮想発電所)が有効になることをお話しました。そして、そのVPPを運営するアグリゲーターにこそ地域新電力が適任であると宣言をしました。

 VPPの役割について、少し整理をしながら、地域新電力との関係を見ていきましょう。
 何よりVPPを行うには、比較的小さな複数のエネルギーリソースを束ねる必要があります。これがないとVPPになりません。将来は蓄電池が含まれますが、現状では発電施設なので、まずそこから考えましょう。
 小さなエネルギーリソースの対極にあるのは従来の集中型の発電施設で、大型火力や原発などがあげられます。一方の小規模施設は大きく分けて2つを考えることができます。「再生エネの発電施設」と「化石燃料中心の非常用電源や工場などでの独立電源」がわかりやすいと思います。特に非常用電源は普段は使われておらず、また、独立電源も緊急性を加味してコストを二次的に見て用意されていることが少なくありません。
 重要なのは、その多くが地域の中に隠れていて、存在の把握が難しいということです。地域新電力や自治体新電力こそがそれを掘り起こし、利用するのが最も自然な電源と言えるかもしれません。

 このうち再生エネ電源では、太陽光や風力発電などのVRE(可変的再生エネ)はコントロールが難しく、一方的に出力制御を受ける側に回ることになりがちです。一方、木質やバイオガスなどのバイオマス発電やコジェネはニーズに合わせたオンオフを行うことが可能です。実際にドイツのVPPの会社は木質バイオマスやバイオガスによるコジェネを中心に利用しています。送配電会社の需給バランス管理の要請に合わせ、自らも市場の動きを見ながらうまく運転を受託しています。
 一方で、企業や自治体の持つ非常用や独立電源はある意味でオンオフが簡単で、運用しやすい特徴があります。これは、たいへん有効な送電会社への調整力提供となるのです。VPP事業者とこれらの電源を持つ会社は、ともにメリットを生み出すWINWINな関係が作れます。

 もう一つ地域新電力との電力の需給バランスの関係で面白い取り組みはDR(デマンドリスポンス)です。
 デマンドリスポンスとは、需要側の電気の使い方を誘導してあげる仕組みというのがわかりやすいかもしれません。VPPが主に発電側のコントロールであれば、需要側のコントロールになります。需要側のVPPとは言い得て妙でしょうか。
 電力の供給が過大になるときは電気の価格が下がるのでその時に電気を使うように需要拡大を勧めたり、技術的に可能にあれば自動的に操作をしたりすることになります。逆に、供給が下がれば価格が上がるので、電気を使わないように導くという流れです。
 DRを前提とした電気料金プランを提供する地域新電力もすでに出てきており、需要家と直接結び付いている地域新電力ならではの需給管理ビジネスになります。
 
 さらに、いずれ蓄電池が安くなれば、家庭用の蓄電池やEVを使って様々な形態でのサービスの提供が登場するのは間違いありません。前に書いたTPO(屋根上太陽光発電施設の第三者所有モデル)で屋根上のパネルを増やしていれば、蓄電池の普及はその次のステップです。それぞれのステップが地域新電力の事業拡大と結びつくことになるでしょう。
 また、VPPやDRは一定エリア内の電力需要の凸凹を平準化することで、系統負荷を大きく下げることが可能にします。これは、地域新電力が送配電会社にとってありがたいパートナーになることを意味します。
 見てきた通り、電力の過不足の融通と送配電会社への調整力の提供やDRの導入は、地域密着型で電力の調達側と供給側双方にコネクションを持つ地域新電力だからこそ出来ることです。

 これまでもこのコラムで書いてきたように、単純な電力の売り買いだけでは地域新電力の発展性には限界があります。VPPは地域新電力がその特徴を生かして取り組みが可能な事業の良き一例だと考えます。ぜひ、さらに勉強をしてみてください。
 今後も地域での再生エネ発電施設は拡大していきますし、拡大しないと国際的な経済競争に負けることになります。それはどれだけ多くの安い再生エネ電力を使うことができるかの勝負でもあるのです。VPPやDRが切り札となるのは間違いなく、地域新電力はその核になる存在です。

以上

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