第四十三回 九州電力の「出力制御」、その後

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 

第四十三回 九州電力の「出力制御」、その後

   第四十回のこのコラムで、九州電力の出力制御について書きました。
  「今後の分析を待って冷静に判断しましょう」というのがその主たる趣旨でした。その後、いくつかの分析が出てきたの
で、まとめながら一定の判断を示したいと思います。

   まず簡単に出力制御のおさらいです。
   九州電力で行われた出力制御は、管内の発電と電力需要が大きくバランスを崩す可能性があったとの理由で行われました。少し詳しく書くと、豊富な太陽光発電の電力が比較的少ない秋の電力需要を大きく上回ることが事前に予想されたことで起きる停電リスク対応でした。
   出力制御は再生エネ電力が全体の3割を大きく超えているドイツでは普通に行われています。九州電力管内は、欧州の再生エネ先進国並みの再生エネ施設があって、それもほとんどが太陽光発電という偏ったものです。
   分析の肝は、今回の出力制御が適正であったか、事前に出力制御を避けるための十分な努力がされたかどうかということです。

   まず、最も公的な分析は、電力広域的運営推進機関(全国の送電に関する公的機関)という組織で行う評価です。
   10月に行われた九州電力の出力制御4回分の評価は、11月21日に「検証結果の公表」として発表されました。分析は、(1) 再エネの出力抑制に関する指示を行った時点で予想した需給状況、(2)優先給電ルールに基づく抑制・調整(下げ調整力確保)の具体的内容、(3) 再エネの出力抑制を行う必要性の3点です。
   何のことだかわかりにくいと思いますが、分析の結果は、「すべて適切であった」という評価でした。細かく言うと、1回の出力制御についてそれぞれ細分化された11の項目があり、4回の制御で合計44の評価について、すべてOKの〇が付きました。これによって、今回の九州電力の出力制御は、公的な機関で適切だと認められたことになります。
   そういうことで、この結果によって出力制御は問題なかったのですね。今後、他の地域も含めてどんどん出力制御が行われていっても仕方のないことです。ということには、残念ながらなりません。

   どういうことかというと、次を見ていただきたいと思います。
   11月12日に、経済産業省の有識者会議で「出力制御に関する対策案」が発表されました。ポイントは4つあります。
   連系線の拡大、オンライン制御の拡大、火力発電の対応、経済損失の調整です。連系線については実際の増強規模が書かれていますが、現状のままでも、地域間連系線の活用量に幅を持った数値を採用すれば、九州電力以外の地域で劇的に制御を行う率が低下することも有識者は示しています。
   また、3番目の火力発電の対応では、こちらも大きく制御を大きく抑制できることがわかりました。
   発電施設の出力の制御を行うのには順番があります。 いきなり再生エネを制御するのではなく、その前に揚水発電を使ったり、連系線で他地区へ電力を供給したり、バイオマスや火力発電を抑制したりすること求められています。ただし、原発はいわゆるベースロード電源として最も優遇され抑制順は再生エネの後となっていて、ここを議論すべきとの考えもあります。
   火力発電については、このように再生エネより先に抑制されるのですが、完全に止めているわけではありません。一定の割合まで運転率を下げていますが、それをもっと減らそうというのです。それによって、さらに再生エネ電力を制御せずに使うことができることになります。
   今回の出力制御は、確かに公的に適切とされました。これは、現状のルールに照らし合わせて正しかったということに過ぎないのです。連系線の使い方や火力発電の抑制の仕方など、まだ対策の余地があることを経産省自体が認めているのです。

   2011年の東日本大震災の後すでに7年以上が経っています。それぞれの連系線に関しては、確かに容量を増やす方向で進んでいます。しかし、その前に行われるべき柔軟な運用のためのルール作りがほとんど行われていなかったことが、今回の九州電力の出力制御での対応の中で露呈した形です。火力発電の抑制ルールも同様です。
   出力制御について、単なるYESかNO、正しかったか間違っていたかの議論は意味がありません。どのようにすればより制御を少なくして、今後コストが大きく下がっていく再生エネ電力を可能な限り多く取り入れることができるのか、前向きの議論が必要だと感じました。

以上

電力コラムの記事一覧

弊社事業のご紹介

バックオフィス支援

バックオフィス支援業務

新電力事業を新規に立ち上げる方
開始されている方へ

自治体新電力のご提案

自治体新電力のご提案

自治体の皆様へ

バランシンググループ

パワーシェアリングの
バランシンググループ

インバランス発生のリスクやコストを削減!