第四十八回 地域新電力の種類④ ヴィジョナリーパワー

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 

 シリーズのつもりの「地域新電力の種類」ですが、前回からほぼ半年が経ってしまいました。
 このシリーズはネタがたくさんあります。何が言いたいかというと、前にも書きましたが、地域の新電力は本当に、それぞれ特徴があるのです。地域性が違う、つまりお国柄が違うのは当たり前ですが、成り立ちもそれぞれ個性的で面白いのです。
   振り返ると、福岡県八女市のやめエネルギーから始まって、青森県民エナジー、岩手県の久慈地域エネルギーに続いて、今回は山梨県の地域新電力です。

 名称はヴィジョナリーパワー㈱で、名前から個性があります。実は、当初、私がどの地域かわからない、カタカナはわかりにくいと文句をつけたのですが、どうしても将来を見通すビジョンのコンセプトを入れたいと押し切られたいきさつがあります。笑。
 この地域新電力の特徴は、県内の有力な地元企業などのトップが個人として出資をしている点です。当初10人が名を連ね100万円ずつの出資金でした。こうやって出来上がった新電力は間違いなく全国でもここだけでしょう。県外からだとよくわからない出資者の名前ですが、地元山梨県民から見ると知る人ぞ知るということらしく、こういうギャップこそ本来の地域新電力っぽいと私は思っています。

   こういう成り立ちですから目的もちょっと変わっています。
   もちろん、地域内の経済循環による地域活性化という大上段のテーマは同じなのですが、県内企業のインキュベーションに繋げたいという思いが強くあります。つまり、地域新電力の生み出した利益を県内で新しいビジネスを進めるベンチャー企業の支援に使うという発想です。地元に地元出資の新進企業が多くできることが、本当の地域の活性化に結び付くとの考えからです。難しい言葉を使い『創業報県』とパンフレットなどに載せています。冷静に見れば、出資者は県内事業で成功したまさにビジネスのプロであり、成功者です。自ら出資した新電力で上げた利益をベースに、彼らの持つビジネスノウハウを合わせて起業家を育てるというのですから、これほど合理的なことはありません。実際に地域新電力が儲かっても、株に対する配当よりベンチャー支援に回すといつも話しています。

 設立はおととしの11月、昨年小売電気事業者登録を終えて、電力の供給を開始しています。営業対象は県内全域です。山梨県には、県内に本社のある新電力はおろか、地域資本の新電力はこのヴィジョナリーパワーしか存在しません。自治体の資本は入っていませんが、設立後に県内の地銀が関連したファンドが出資をし、そのファンドに県や自治体商工会議所が出資するという構造から、間接的に自治体の資金が入る新電力になりました。
 まだまだ、電力供給が始まったばかりで量としては少ないのですが、順調な拡大を見せています。ここではまだ公表できませんが、現在県内のある自治体との連携が進んでいます。一部施設の電力供給だけでなく具体的な地域活性化の取り組みを行う予定で、将来は地元発の起業のお手伝いも視野に入れています。
   お分かりのように、山梨のヴィジョナリーパワーは、電気を売るだけの新電力ではありません。多くの他の新電力が電気を売ることだけが目的で、もちろんそれがいけないわけではありません、そのために安売りに走ることも当たり前です。ヴィジョナリーパワーは、県内のベンチャー企業を育てるというはっきりした目的があるので、そのためにどう活動するかが明確です。自治体との連携もその個別の自治体の中に新しい企業を生み出そうという点で独自の連携が図れるのです。

   こんな個性的な地域新電力が山梨にあることを覚えていてください。そして、皆さんの地域に地域のために動く独自の新電力の可能性が無いかも考えてみるとよいかもしれません。

以上

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