第五十回 自治体はなぜ新電力をためらうのか(上)

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 このコラムも、ついに50回を数えるまでになりました。2年近くです。
 まさか、全部お読みいただいている方はいらっしゃらないとは思いますが、書いた本人としてもちょっと感慨深いところもあります。

 ちょうど先週の3月8日、環境省が主催する「地域新電力の推進に係る意見交換会」という集まりに行ってきました。今、環境省が一押しで進めるのが『地域循環共生圏』です。これを構築するための核となる地域新電力を増やそうというのが会の目的のようです。
 筆者は、特定の官庁などに肩入れしたり、逆にされたりという気はありませんが、環境省が、地域活性化の鍵として地域新電力を挙げていること、その役割をほぼ的確に分析していることなどはちゃんと評価しているつもりです。ですから、お手伝い出来るところは出来るところとして、この会にも喜んで参加しました。
 参加メンバーは、自治体が主役です。圧倒的に数が多く40近い団体に及びます。それに加えて、筆者のような地域新電力をサポートする会社がおよそ10社いたでしょうか。

 環境省の心を(勝手に)読むと、自治体に対して主体的に新電力設立にかかわってもらいたいということなのだと思います。地域で経済循環が起きて豊かになっていく絵図を環境省は『地域循環共生圏』として描いています。その柱の一つがエネルギー、特に再生エネで、その自律分散型のスシステムが地域エネルギー会社という位置づけですね。
 以前は、環境省はシュタットヴェルケをモデルにすることを前面に出していました。しかし、ほぼ自治体資本100%のドイツのシュタットヴェルケをそのまま日本に持ってくることは、成り立ちや歴史が違うことから無理があると気付いたのかもしれません。地元の民間資本とも協力することが現実的だとして、シュタットヴェルケ型には必ずしもこだわらなくなったようです。
 とはいっても、民間だけの資本では、利潤だけの追求に陥る可能性があります。また、自治体の全面的な支援がないと、力不足、影響力から地域経済の循環にまで到達しません。さらに、環境省が目指すCO2削減にもつながらないのは明らかですから、自治体に強く期待しているのでしょう。

 さて、問題は、肝心の自治体が環境省の求める役割に必ずしも沿っていないということでしょう。客観的な数字として、全国の自治体新電力の数は、いまだにわずか30~40程度でしかありません。
 今回揃った自治体さんたちを見ると、私がお付き合いのあるところが少なくありませんでした。彼らが、地域、または自治体新電力に関心が無いわけではないのは、わざわざこの会に参加していることからよくわかります。しかし、では、すぐに地域新電力の設立に関わろうとしているかといえば、はっきり言ってそうではありません。
 個別に話をしてみると、多くが、検討しているけど、いろいろハードルが、もうちょっと調査してということになってしまいます。そこで、今回のコラムのテーマは、掲げた通り。
 まさしく、自治体はなぜ新電力をためらうのか、です。

 わかりやすくするために、ここでは、「自治体新電力」に絞ってお話していきましょう。
 自治体新電力とは、日本ではなんとなく自治体が一部でも出資することが、共通事項となっているようです。もちろん、ドイツのシュタットヴェルケのように、自治体出資100%でも自治体新電力でしょうが、わずか1%でもOKというのが日本式の定義とします。

 ざっと、ためらう理由を箇条書きにしてみましょう。
 ネガティブな書き方は誤解を招くので、ここでは『自治体新電力をためらわないために必要な5つのポイント』としましょう。
 まず来るのが、
1.知識 
 ある意味でこれがすべてかもしれません。
2.第三セクターからの脱却
3.危機感
4.仕事への前向きさ
5.勇気

 ここまででだいぶん字数を使いました。
 何と言っても、今回のテーマが出てきたのがほとんどコラムの最後ですから。
 では、次回以降に、順番に説明をしていきます。
 言っておきますが、これは決して自治体批判ではありません。裏には、長年の日本のエネルギーを含む政策の実態が隠れています。あくまでも、物事を前向きにすすめるためのコラムです。ぜひ次回以降もご期待ください。

以上

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