第五十一回 自治体はなぜ新電力をためらうのか(中)

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 さて、前回の続きのコラムです。
 テーマは「自治体はなぜ新電力を作ったり、関与したりするのにためらうのか」で、その二回目になります。
 前回のコラムの最後にポイントを箇条書きにしたことを覚えているでしょうか。
 ネガティブな書き方ではなく、自治体新電力をためらわないために必要な5つのポイントとしました。
 もう一度リスト化しておきます。
 さらに、『自治体新電力を作るために自治体に求められる5つのこと』と言い換えてもよいでしょう。
1.知識 
2.第三セクターからの脱却
3.危機感
4.仕事への前向きさ
5.勇気

 簡単に、ひとつずつ説明していきましょう。

1.知識
 圧倒的に足らないのが、新電力に対する知識です。
 ある意味、これがほとんどと言ってもよいでしょう。つまり、知識不足から設立や関与をためらうケースが一番多いのです。知らないので怖い、間違った知識で間違ったリスク意識を持つということです。当たり前ですが、ためらいを取り去るための方法の第一番は正しい知識を持つことです。
 まずは、基本的な知識からです。さすがに、小売電気事業者の登録が必要だということは皆さんわかっています。それはわかっていても、必ず質問してくるのが、「電源を持っていない」「発電施設がないから無理なのでは?」ということです。
 新電力は電気の小売りをするので、その電気をどこからか買ってこなければならないというのは正しいことです。しかし、詳しくは書きませんが、当初は、まず電力の卸売り市場(JEPX:日本卸電力取引所)や旧一般電気事業者(東電、九電など)によるバックアップ電源に頼るので十分です。仮にFIT制度で買い取ってもらう太陽光発電所を持っていたとしても、電気の価格はJEPXと同じなので、特に価格優位性はありません。逆にインバランスにケアが必要で面倒とも言えます。
 また、新電力の小売り電気事業と発電事業をごっちゃにしている自治体も目立ちます。
 この他、なぜ電気を安く売ることができるか、など知っておかなければいけない基本的な知識が欠けているケースを私は各地でたくさん見てきました。原因は単純で、正しい知識を提供する人が少ないことが一番、二番目には知るための努力が欠けていることでしょう。

2.第三セクターからの脱却
 これはトラウマと言ってもいいかもしれません。
 バブル期のことです。多くの自治体が観光施設建設などインフラ投資を含むプロジェクトなどに手を出して、大きな金銭的な痛手を受けました。その時の事業のやり方が、自治体の過半数以上の出資による第三セクター方式でした。
 そのトラウマはまだまだ引っ張り続けられています。少なく無い自治体で、「自治体が出資」と言った瞬間に職員からトップの脳裏に蘇ってくるのです。
 その対策は、冷静に分析することが最も重要で、またそれで十分です。自治体新電力は、ほとんどインフラを伴わない事業です。ですから、資本金は1000万円程度あれば設立が可能です。また、事業そのものは、公共施設を中心に電力の需給シミュレーションをしっかりやって、過大な固定費を持たないようにすれば、それほど大きなリスクはありません。
 また、資本政策として、自治体の資本割合を小さくすればそれだけリスクは減ります。例えば、私がお手伝いしたところで、全体1000万円の資本金に対し、自治体が5%を出資したケースがあります。株式会社ですから、万が一倒産しても50万円が帰ってこないだけです。
 冷静になりましょう。まずはそうお話したいです。

3.危機感
 これが案外難しいかもしれません。危機感を自治体は実際に持っていると思います。私は、そこで動けと言いたいのです。
 地方が疲弊していると言われ、人口減が加速度的に進んでいる現実にどの地方自治体も頭を悩ませています。ところが、その先何をしたらよいかというところで、あっという間にフリーズしてしまうことがままあります。
 今、世界のテーマとして圧倒的に重要で、さらにその業界の成長の可能性も高いものと言えば、再生可能エネルギーです。CO2削減のための温暖化防止策というだけでなく、限界費用ゼロ(原料代がかからない)の安価なエネルギーという観点も忘れてはいけません。再生エネは分散型で地域に資源があるので、この経済成長のカギは地域に眠っているのです。再生エネの利用を他人任せにせずに自分たちでコントロールする一つの大きなツールが自治体新電力(地域新電力の当然同様なポテンシャルがあります)なのです。
 ここまでたどり着くのはそんなにむずかしくないと信じます。

 ボリュームが満タンになってきました。
 次のコラムで、もう一塊(ひとかたまり)の核心、「仕事への前向きさ」、「勇気」を取り上げたいと思います。なかなか、面白いエピソードもあります。乞うご期待。

以上

電力コラムの記事一覧

弊社事業のご紹介

バックオフィス支援

バックオフィス支援業務

新電力事業を新規に立ち上げる方
開始されている方へ

自治体新電力のご提案

自治体新電力のご提案

自治体の皆様へ

バランシンググループ

パワーシェアリングの
バランシンググループ

インバランス発生のリスクやコストを削減!