第五十九回 SDGsを地域でどう実現するか。(下)

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 さて、前回に引き続いて、最近、私の講演のオファーで最も多く、流行しているともいえるSDGsについての二回目です。襟によく見かける円形のカラフルなバッジも、そのSDGsを表しています。
 SDGsとは何かについては、前のコラムで復習してもらうとして、今回はSDGsを地域でどう実現するかについてお話します。

 前回クイズのように示したのを覚えているでしょうか。2030年に向けて17のゴールなどを具体的に示すSDGsに「決定的に欠けているものがある」ということでした。
 それは何かというと、ゴールをどのように実現して行くかという具体的なシナリオが、描かれていないということです。一方で、国内の自治体には、国からSDGsの実行のためにプランを作れとプレッシャーが来ているのも事実です。さて、どうやって実現すればいいのでしょうか。
 答えのひとつは、SDGsの17のゴールの中にあります。実は、17番目に『実施手段』というゴールがあります。簡単な説明は、「パートナーシップで目標を達成しよう」です。つまり、SDGsは、自治体や一企業単独で実現するのではなく、多くのパートナーと一緒になって達成するものなのです。
 そもそも、SDGsは、17のゴールすべてを実現するための指針です。外務省の説明によると、『包摂性』と言って、人間の安全保障の理念を反映し「誰一人取り残さない」ことを特徴としています。これは、個別の努力でなしうるものではありません。広く協力し合う体制、パートナーシップが必要なのは当然なのです。
 一方で、シナリオが無いというのも理解できます。世界中まとめて一斉にSDGsを実現する方法などないからです。地域地域によって、様々な事情や条件があってそれに合わせながら課題解決の方法を探っていくことしかできないのです。
 これを『ローカライズ』と言います。17のゴールへの道をそれぞれの地域によって具体化していくことです。そして、ローカライズのために、地域ごとに17番目のゴールであるパートナーシップを形成することになります。

 地域ごとのローカライズとパートナーシップ、この二つの要素を考えたときに、ある答えが浮かび上がってきます。そうです。私たちがずっとテーマにしている地域の新電力が、SDGs実現の地域での良きパートナーになれるのではないかということです。
 その通りです。その資格は十分にあります。あとは、自治体や地域の企業、その他のステークホルダたちとどうコラボをするか考えていけばよいのです。まだまだ、知識としてSDGsを理解していない向きも多いので、まずは勉強会などから始めるのがよいでしょう。この手のセミナーはたくさんあるのですが、外務省のPPなどを使って全体像を説明するところで終わってるケースがほとんどです。17のゴールや5つの特徴、2015年の国連サミットのお話などです。ここで終わってしまうと、シナリオが見つからない自治体と同じになってしまいます。ローカライズとパートナーシップを掲げてこそ、地域での実践に結び付くのです。ここまで来て初めて、SDGsが理解できたことになります。

 最後に、環境省の進める『地域循環共生圏』をご紹介しておきます。
 環境省自らが「曼荼羅図(まんだらず)」と呼ぶ、大きなイラストがその内容を細かに示しています。ある地域を想定して、その中で地域経済が循環し、地域の人たちが豊かに幸せに暮らす共生圏の姿を映し出すものです。環境というキイワードだけでなく、経済、エネルギーやBCPなどの地域の重要な要素がぎっしり載っています。詰め込みすぎと、環境省の担当者が笑って語っていたのを思い出します。
 この地域循環共生圏は、SDGsを地域で実現した姿と重なるものです。より具体的に示し、ある意味での実現へのシナリオや欠かせない要素をここで知ることができます。

 よく考えてみてください。
 SDGsも地域循環共生圏も、地域にとってのひとつのモデルではありますが、目的そのものではありません。目的は、SDGsのバッジや曼荼羅図のようなカラフルな形ではなく、地域が実質的に豊かに持続的に残っていくことです。
 地域の新電力は、この目的を共有し、実現のサポートとなる存在であってほしいと願ってやみません。

以上

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