第六十二回 FITが終わると何が起きるか(上) ~なぜFIT制度が終わるのか

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 FIT制度が終わろうとしています。
 この9月中旬に経産省の有識者の小委員会が示したFITに代わる制度がほぼ了承されたので、枠組みとしての終了は決まったといってよいでしょう。
 さて、FIT制度は「固定価格買取制度」が正式名称です。といっても、再生エネの発電を行っている事業者さんなどの関係者以外はあまり知らないかもしれません。もともと、再生エネを増やすために、再生エネで作られた電気を固定した値段で高く買い取る制度として原発事故の翌年の2012年に導入されました。その後メガソーラーがたくさん建設されたり、その業者さんが結構稼いだりということは聞いたことがあるでしょう。

 この制度は再生エネ発電が増えるという目的が達成されれば、必要無くなるものです。つまり、制度が無くなることが目標という珍しい法制度です。ところが、日本の現状の再エネ電力の割合は水力を除くと10%を超えた程度です。まだまだ少ないのは明白です。ですから、FITが終わると騒いでみても、終わるところだけが重要なのではなく、代わりの制度をどうするかが大事です。冒頭に書いた通り、次の制度について有識者が話し合っているのです。
 それではなぜ、FITを途中でやめて、新しい制度を考えているのでしょうか。
 これまでの経緯から、次のようなやや感情的な議論が背景にあると思われます。太陽光発電ばかりが増えてバランスが悪いし、一部の業者であるが不当に利益を出したり、地域を乱開発したりでけしからんことが多い。また、賦課金が高くなりすぎてこちらも困ったものだ、といってFIT制度を悪者扱いしているようです。
 もともと日本のFIT制度は2011年の大地震の後の対応の中で大慌てて出来上がったものでした。ドイツのEEG(ドイツ版のFIT制度)のように各種の予測をしたうえで精緻な数字の組み込んで作った制度とはだいぶん違います。ドイツの法律の冊子は分厚く、日本の法律は本当に薄っぺらなのが違いをよく示しています。
 また、日本の制度は生まれたときから、いわば突っ込みどころ満載でした。一番驚いたのは、再生エネの電気を増やすことを目的にしているのに、目標の数字が無いことでした。いつまでにどのくらいまで再生エネ電力を増やそうというか、全く書かれていないのです。ドイツでは、例えば有名なのですが、2050年までに全消費電力の80%を再生エネで賄うことを掲げています。そのために省エネで消費電力をどこまで下げるのか、また、太陽光とか風力など個別の電源をそのくらいの割合にしていくのかなどが細かく示されています。そして、いくらで買い上げれば(固定価格)、どのくらいの割合までどう増えていくかも計算しています。もちろん、予定通りいくとは限らず、実際に外れも多くあります。よって、様々な修正がその後なされているのも事実です。
 一方、日本では、個別の電源比率の目標どころか、全体目標の数字がありません。ですから、賦課金がどうなるか、どうしたいかの設定もないのです。賦課金がどう増えていくかは、成り行き任せです。存在しない目標を元に、後から「高額すぎる」などと言われても首をかしげるばかりです。

 確かにFIT制度は不完全でした。しかし、FIT制度の導入が間違っていたとは、私は全く思いません。導入は、間違いなく正しかったと確信しています。実際に、再生エネ電源が劇的に増えてきていることははっきりしています。もし、導入されていなかったら、現在の10%の二けたはもちろん、その半分にも達していないでしょう。これだけ世界が再生エネにかじを切っている中で、日本は後進国として笑われ、経済的にも圧倒的な不利な立場となっていたでしょう。想像すると恐ろしいばかりです。制度に問題もありましたが、やっぱりやってよかったと言えるのです。

 とにかく、現行のFIT制度は終わろうとしています。しかし、現状では再生エネはまだまだ足らないという認識はほぼ一致しています。このためFIT制度とは別の仕組みで再生エネを増やしましょうということが進んでいると理解してください。重要なのは、それがどんなもので、これまでと何が違ってくるかということです。次回のコラム以降は、このことを書いていきます。特に地域や地域新電力との関係にとっても重要なことがたくさんあります。
 それから、FIT制度の終了と言っても、これまで固定価格で買い取られている再生エネ電力は、今後も決まっている期間内できちんと継続されます。ご心配なく。また、屋根上などの小さな太陽光発電や小水力などの電源による買い取りは続く方向です。

以上

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