第六十五回 ついに開放へ向かう配電網

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 来年の発送電分離を重要なタイミングとして、電力システムに関する多くの変更や変革が進められています。
 いろいろな新しい電力市場の開設やFIT制度の実質的な終了など数え上げればきりがありません。中には地域の新電力にとって重大な障害となりかねない容量市場のように再生エネ後進国のこの国らしい制度改革があり、残念な取り組みと言わざるを得ませんが。。。。一方で、海外の先行事例を参考とした期待できそうなものも控えています。

 その一つが、配電網に関するものです。
 11月7日に日経新聞のスクープ記事として出たのが、「再生エネ、配電に免許制 工場・家庭向けに地域完結」でした。内容は、翌日、8日に開かれる資源エネルギー庁の委員会の議論の先取りで、「企業が特定の地域で工場や家庭までの電力供給に参入できる新たな仕組み」をつくるというものです。具体的には、これまで大手の電力会社が独占してきた配電事業に、他業種から参入できるものです。記事では、「太陽光や風力などの再生可能エネルギーの事業者を念頭に配電の免許制度を設けて、地域で生み出す電力を工場や家庭に直接届ける。」となっています。
 電力の自由化後、東京電力や九州電力などの巨大電力会社独占だった電力の各種機能に対して、すでに他の事業者の参入が進んできています。個別に見ると、「発電」部門でのIPP(発電事業者)から始まって、「小売」部門ではすでに600を超える小売電気事業者が登録されています。今後は、残る「送配電」部門、つまり需要家に電気を届ける機能についても、他の事業者の参入を認めようというのです。ただし、送配電すべてではなく、一定の地域内で最終的な需要家、一般家庭や工場、事業所への「配電」の部分です。

 ひとつ、電力に関する常識について。
 日本では、長く大手の電力会社がすべての部門で地域独占してきたために、電気に関する事業者は何でも「電力会社」と呼んでしまうという傾向が残っています。しかし、電力自由化の後では、それぞれの機能によって、発電会社、小売会社、そして送配電会社というように呼び分けるのが当たり前になります。

 さて、電力の自由化が進んでいる国では配電事業はどうなっているのでしょうか。
 国によっていろいろなのですが、例えばドイツを考えてみましょう。ドイツでは、配電網そのものをいわゆるシュタットヴェルケや民間企業が所有しています。ただし実際に配電網やメーターの管理をだれがやるかは、その地方の議会で決めています。具体的には入札を行うケースが多く、ここでたまに「大手の配電事業者」対「地域の事業者」という構図が有名になることがあります。市民電力シェーナウや最近のベルリン市民エネルギーはこのケースです。契約は一度決めると20年間有効なので、その入札は一大決戦の様相を呈するわけです。とはいえ、どことは言いませんが、私が懇意にしているあるシュタットヴェルケでは、形式的なコンペだけでほぼ自動的に配電網事業を手にしていますが。。。
 
 今回の配電網の“自由化”がどんなものになるかは、まだ明らかではありません。
 日経の記事によれば、配電の免許を取得した事業者が、地域内の電力融通を一括して受けることになります。その効果として再生エネをより入れやすくすることなどが期待されています。一方、配電網のメンテンナンス費用を新しい事業者が負担することで、大手の送電会社の配電網の維持更新の負担を軽減することが大きなメリットとも考えられます。しかし、メンテナンス費が過大になれば、配電網ビジネスに対する興味が薄れることになりかねません。

 ここまでこのコラムをお読みになってわかるように、経産省はドイツの配電事業を参考にして日本にも導入を図ろうとしているように見えます。
 再生エネを拡大し活用したいという考えでは、今や国も地方も民間もほぼ一致しています。反対の声があるとすれば、一部の特別な利権にとらわれた人たちにすぎません。
 分散型である再生エネと地域はもともとその特性から密接に関係しています。配電網を地域が持つようになれば、発電から供給、利用までを一貫して行うことが可能になります。そのためには、配電事業をこれまでの大きな電力会社(旧一般電気事業者)から切り離すことが第一条件です。これまでとは別の事業者が業界に入ってくるだけでなく、その事業者が必ず地域と何らかの関係や思いを共有できることが同様に重要であることを、最後に書いておきたいと思います。

以上

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