第六十八回 地域活性化と地域新電力の役割(上)

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 新電力の定義が、大きく分かれてきている気がしてなりません。
 2016年春に、電力の小売りが完全に自由化されて以来、多くの小売電気事業者、いわゆる新電力が誕生しました。先ほど資源エネルギー庁のWEBを覗いてみたところ、12月10日時点で630事業者になっています。登録番号はA672まであるので、すでに40以上の事業者が撤退していることがわかります。

 ひとくくりで「新電力」といっても、事業スタイルや対象エリアなどはそれぞれです。新電力の性格というか成り立ち、事業内容は、同じ新電力というカテゴリーに収めることができないほど違うものもあります。
 特に「会社が実際に目指すもの=事業目的」に顕著な違いが見えます。
 一般的にニュースになる新電力では、やはり売上額などボリュームが重要視されます。たとえば、旧電力会社に対抗する大資本の参入組である東京ガス、JXTGは、華やかなテレビCMによる大きなPR活動が特徴的です。一方で、F-POWERなど独立系は一時期確かに躍進しましたが、極端な安売り合戦や「取った取られた」の競争の結果、無残な撤退や転身の憂き目を伝える報道が一部で目立ちます。また、派手な宣伝をうっているからといって、必ずしも儲かっているわけでないのは世の常です。
 総じて、新電力の経営は厳しい、淘汰の時代がやってきたという記事を本当によく目にします。私が地域新電力や自治体新電力に関する講演やセミナーを行っていると、まず聞かれるのは、新電力は厳しいんですよね、大丈夫なんですかという事業性のことばかりです。

 質問する側は、何でもかんでも新電力という名にしてひとまとめで聞いてきますが、答える側の私としてはどの新電力のことを言っているのだろうかという疑問が先に立つのです。まず、大口の顧客や一般家庭でも数を取ることを目指して、規模感で小売ビジネスをする新電力が多く存在しています。
 それとは別に、地域に根差して事業を展開する新電力の存在もはっきりした輪郭を示し始めています。いわゆる、地域新電力や自治体新電力というカテゴリーです。これまで私のこのコラムを読んでいただいてきた方々は、私の繰り返しのメッセージを理解して、今回のお話にもたやすく付いて行ってもらえるでしょう。
 私の考える大きく2つのカテゴリー分けができる新電力ですが、後者の地域新電力が今後どう発展していけるのかについてたいへん重要なポイントがあると思っています。そのことを年末から2020年の初めにかけてまとめておくつもりです。

 誤解を受けやすそうなので、事前に一つお断りを。
 前者の数とボリュームを広く求める新電力がいけないとか悪いとかいうつもりはさらさらありません。ビジネスとしてそういうスタイルがあるのは当然です。私が言いたいのは、同じ新電力という名がついていても、別の存在だということなのです。

 すでに前置きが長くていまさらなのですが、結論を書きます。
 地域に根差す自治体新電力を含む地域新電力の目的の柱は、「広く地域の価値を高めること」だと私は考えます。
 地域の名前を冠する多くの新電力のWEBサイトを見ると、一様に、「エネルギーの地産地消」や「経済循環で地域活性化」を目指すとうたっています。ところが、地産地消の意義や地域に何をもたらすのか、また、地域活性化とは具体的に何を指すのか、また、なぜ新電力がこれらを目的とするかについてまで触れているWEBはなかなか見当たりません。残念ながら、パターン化したうたい文句で使っているケースが多いと推察せざるを得ません。
 地域で新電力を立ち上げてビジネスを行う中でも、直接的な事業利益を第一に掲げて数を取りに行く会社も少なくありません。もう一度書きますが、それは間違ってもいないし、いけないことでもありません。そういった会社が稼げば、多くの場合地元に利益が落ちるので、一定の経済効果も期待できます。
 一方で、人口減少や高齢化などによる地域の疲弊を何とか食い止めて、地域を元気にする手段として地域の新電力を立ち上げようという動きも実際にたくさんあり、私もお手伝いをしてきています。

 そこでも目的である「地域活性化」と新電力が行うビジネスとのつながりがあいまいなケースはよくあります。理由は、どうしても電気の小売りビジネスに引きずられ過ぎるためだろうと思うのです。わかりやすく言うと、小売電気事業の利益で地域活性化を実現するとしている新電力が多いことに気づきます。
 しかし、問題は、それほど大きな利益を新電力があげるのは簡単ではないこと、そして、そのために、地域の中で他の新電力などと安売り競争を繰り広げることになりかねないことです。

 では、地域活性化は、地域新電力にとって無理な大それた目標なのでしょうか。
 私は、全くそうは思いません。地域新電力は地域活性化を実現する起爆剤に十分なりえると考えます。
 その理由を示すため、地域活性化と先に新電力の目的として掲げた「地域の価値を高めること」との共通点を説明したうえで、地域新電力をツールとした地域活性の実現方法を具体的に示したいと思います。

 そういうことで、このコラムの後半は年越しをして来年にお届けします。
 なんだか、サギっぽいエンディングですが、よいお年を。
 来年もよろしくお願いいたします。

以上

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