第六十九回 地域活性化と地域新電力の役割(下)

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 あけましておめでとうございます。
 今年は本格的な再生エネ推進の年になります。
 発送電の分離が実行されるだけでなく、ようやく動き始めた「再生エネ主力電源化」が民間による大規模な投資として大型ビジネス化していきます。ただし、このままほっておくとFITスタート後のメガソーラーのように、地元に大したメリットもないまま利益を地域外に持っていかれる危険性があります。気を引き締めてお手伝いをしていきたいと思っています。

 さて、昨年の末にやり逃げのように上編だけを書いていたコラムの続きです。
 前回お話したことは、新電力というカテゴリーが大きく2つに分かれてきていること。そして、規模を求めて全国規模で電力の小売り事業を行うのとは別に地域に根差す新電力があること、その目的の柱は「広く地域の価値を高めること」との私が考えを示しました。
 後半のコラムでは、「地域の価値を高める」という地域の新電力の役割について具体的にお話しします。

 地域の価値を高めるというのは、私が地域活性化を言い換えた言い回しです。
 一般的によく言われる、「エネルギーの地産地消によって流出エネルギー費を削減すること」、「そして地域内での経済循環を起こすこと」も当然ながら地域活性化に結び付きます。つまりこれらも地域が経済的に豊かになることで地域の価値が上がったことになります。地域や自治体新電力が地域の発電施設からの電力を調達し(地産)、地域に電力を供給する(地消)する直接的かつ中心的な役割を果たしているのです。
 しかし、地域の価値を高める役割はこれだけに終わりません。
 ここでいったん「地域の価値」とは何かを考えてみましょう。結論から言うと、住みやすさ、暮らしやすさだと思います。経済的な要素もありますが、安全・安心や地域内のサービスなどといった生活全般にかかわることの重要性にみなさんも広く賛同するでしょう。
 
 新電力なので、エネルギーと結びつくところから示します。前述したエネルギーの地産地消以外にもたくさんあります。大きな柱は、災害時のBCP対応です。気候危機(気候変動ではなく、危機という呼び方がこれからは一般的になります)の結果大きな災害が頻発しています。昨年起きた大規模な台風被害は、残念ながら日常になりかねません。その際、いかに電気や熱などのエネルギーを供給できるかは、まさに死活問題です。
 緊急時の電力の供給主体として地域の新電力には大きな期待が寄せられています。環境省は自営線を含めた災害時の電力供給システムに注目し、エネ庁は「地域活用電源」という名をつけてFITを一部残すことを提案しています。ポイントは、どのようにシステムをハンドリングするかで、地域の新電力はその主役になりえる存在です。
 一方、災害を招く温暖化への対抗策として再生エネ拡大が世界中で求められています。いまや企業はこぞって再生エネへのコミットをアピールし、RE100への参加が拡大しています。今後、再生エネ電源への需要は飛躍的に伸びるのは間違いありません。

 この状況の中で地域の新電力が果たす役割は大きく分けて二つあります。
 一つは、地域に再生エネ電力を供給することで、RE100、RE Actionなどへの参加企業を地元に呼び寄せることです。地代や水道などの光熱費を割引することで企業誘致をする時代は終わりを迎えようとしています。これからは、再生エネ電源の提供が誘致の呼び水になります。
 もう一つは、地元の自治体や民間企業のRE Actionへの参加を支援することです。再生エネは企業活動と切り離せない存在になります。例えばモノづくりでは、生産時にどんなエネルギーを使っているかが問われますし、RE100関連の企業と仕事をする場合も同様です。地元の企業や自治体が再生エネを使えるようにアレンジすることは、地元の企業や地域そのものの価値を高めることに直結するのです。

 一方、地域での生活一般に関する役割もあります。
 先に示したBCPへの対応はエネルギー面からの地域の安心・安全を高めることです。それ以外にも地域内での各種サービスと地域の新電力には密接な関係性があります。私がよくセミナーなどでお話しするのは、地域新電力は地域の中での相談相手、特に自治体の相談相手になるということです。教育、観光、地元の産品の販売など地域が抱える様々な課題を解決するときに一緒に考え、行動できる仲間として地域新電力は強い味方になる可能性を秘めています。
 今はやりのSDGsで考えてみましょう。掲げるのは17のゴールです。もちろん、実現は簡単ではありません。しかし、地元に有力なパートナーがいたらどうでしょう。その第一候補が地域の新電力だと私は考えています。SDGsの前提条件は「一人も取り残さない」です。ある場所で17のゴールが一人残さず達成できたとしたら、それこそ素晴らしい地域です。
 もう一度、地域の新電力の役割を思い出してください。「地域の価値を高める」です。SDGsの17のゴールが一人も欠けることなく実現することは、まさに究極に地域を高めることにつながります。

 お分かりいただけたでしょうか。
 地域に存在する新電力は、単に電気を安く売ることだけが目的にしていてはもったいないのです。理想の地域を作り出すための地元のツールになることを忘れないでください。

 今年もよろしくお願いします。

以上

電力コラムの記事一覧

弊社事業のご紹介

バックオフィス支援

バックオフィス支援業務

新電力事業を新規に立ち上げる方
開始されている方へ

自治体新電力のご提案

自治体新電力のご提案

自治体の皆様へ

バランシンググループ

パワーシェアリングの
バランシンググループ

インバランス発生のリスクやコストを削減!