第七十回 危機感を持って温暖化を考える

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 毎年新しい年を迎えると、今年がどういう年になるかと考えます。基本的には、今携わっているエネルギーや地域の活性化という観点からの展望です。これまでいくつかの予想をしてきましたが、ほぼその通りの結果となっています。
 2020年は再生エネにとって転換点といえる非常に重要な年になる、もう少し正確に言うと、様々な制度改革が待っている、再生エネを巡るビジネスが大きく伸びる年になると他にいくつかのコラムですでに私は書いています。
 一方で、もっと恐ろしい予測があります。
 温暖化が世界でさらに悪影響をもたらすだろうということです。私たちはそれに対して早急な対応が迫られる年に2020年は必ずなるでしょう。

 昨年も10月に同様のコラムを書きましたが、もう一度年初にあたり、そこに触れなければいけないと思いました。強迫観念にも似た感覚です。
 年明けになって、猛威を振るうオーストラリアの山火事に世界中の多くの人たちが恐れをなしたに違いありません。日本では毎日のように暖冬のニュースが続き、雪のないスキー場などの映像を見せられることになりました。
 温暖化との因果関係は確定していないがとの但し書き付きながら、気候変動を『気候危機』と言い換えることについて、反対する人はいないでしょう。海面が上昇して住めなくなるという島々の話をよその国のことだと高をくくっていられなくなっている状態に近づいているのです。

 重要なのは、この気候危機を自分のことだと考えることです。ニュースで見るものを「我がこと」としてとらえるのは、私は想像力だと思っています。特に日本人は島国で長く暮らし、想像することが不得手だと思えてなりません。そして、他国の出来事から国内の災害被害と危機的な事象が近づいてきているのに、意図的に自分のこととして見ないようにしているのではと疑うほどです。
 特に私を含む大人たちのレベルがひどいのです。自分たち自身と仲間や支持者への利益供与しか考えない嘘つきの政治家たちにグレタさんを先頭とする若者たちが強い嫌悪感を示すのは当然のことです。これからの人生が生きてきた時間より長い人たちこそ、未来に向かってモノをいう権利があります。
 前にも書きましたが、偉そうに言う私自身がその想像する力に大きく欠けていることを認めざるを得ません。しかし、もう限界だと思います。私たちは2020年を行動の年にしなければなりません。

 さて、私の思いだけを述べるのがこのコラムの目的ではありませんね。
 そこでドイツで起きている温暖化への動きをお話しておきたいと思います。昨年夏、世界で起きた温暖化対策を求める若者のデモで最大の動員力を見せたのがドイツでした。800万人近いデモの参加者のうち100数十万はドイツでの人数です。環境保全をとても大事にする国民性はここにも現れています。脱原発や再生エネ推進は長い経験の中での筋金入りなのです。
 昨年1年間のドイツでの再生エネ発電の割合は大きく伸びました。世界的な研究機関であるフラウンホーファー研究所ISEの1月2日の発表では再生エネ発電の比率が46.1%と5割に迫る勢いだとわかりました。残りの発電のうち、原発を除いたいわゆる化石燃料による発電の割合はおよそ40%で、再生エネが化石燃料の発電量を初めて上回りました。

 特徴的なのは、石炭による発電が大きく減ったことです。ドイツは褐炭と呼ばれる低品質の石炭の産出国で、それをもとに火力発電を行っています。その発電量が20%以上も減り、さらに輸入に頼る品質の良い石炭による発電量も3割以上の減となりました。原因は、石炭発電によるCO2の発生を埋め合わせるための二酸化炭素証書の価格が高騰としたことや代わりの発電原料になる天然ガスの値段が下がったこと、再生エネが増えたことなどです。
 ご存知だと思いますが、ドイツは2038年までに石炭火力発電を全廃することを決めています。大きく減ってきたとはいえ、まだ合わせてドイツ全体の発電量の3割近くもある褐炭、石炭発電を止めようというのです。並大抵の覚悟ではありません。何といっても石炭は採掘を含む大きな産業です。関連の雇用者はおよそ2万人といわれています。

 年明けにドイツのメルケル政権は脱石炭の構造転換を進めるために大きな支出をすることを決めました。石炭を産出する4つの州に対して合計400億ユーロ、4兆8,000億円を拠出し、また、石炭発電所を有する企業に対しておよそ5,000億円を補償金として支払うというものです。
 石炭発電に頼るドイツに対しては欧州各国から厳しい目が向けられ、国内では百万単位の若者たちのデモが起きています。現政府は財界寄りとの批判も浴びる中、ギリギリの政策選択を迫られたと言えるかもしれません。温暖化対策は血を流す厳しいものなのです。

 『温暖化対策に待ったなし』という感覚を日本も実行付きで持つことを迫られる年になる可能性が高いでしょう。RE100やRE Action、自治体による「2050年二酸化炭素排出ゼロ宣言」など、感覚の鈍い政府より先に民間や自治体が先を争っているようにも見えます。私たち個人個人も危機感を持って温暖化に向き合うことが求められています。

以上

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