第七十一回 電気の小売りの枠を超えよう

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 “年の初めにあたって”をテーマに、前回のコラムでは地球温暖化、気候危機を真剣に考えようと書きました。そのあと、いくつかの企業さんや自治体の方々と話す機会があり、特にある大きなエネルギー会社の中でCO2削減に取り組めと急に大騒ぎになっていると聞きました。「ちょっと前まで再生エネって言っても結局儲からないとか言ってた幹部が手のひら返しだよ」というコメント付きでした。
 オーストラリアの火事などの目に見える出来事の影響は決して小さくないのだと思います。今年は、気候危機への対応の必要性が急激に盛り上がるのは間違いないでしょう。

 もう一つ年の初めでのテーマを、といっても2月も中旬になろうとしていますが、それは地域新電力へ向けてのもので、今回のタイトルでもある『電気の小売りの枠を超えよう』です。
 このコラムで何度か書いていることの繰り返しになりますが、小売電気事業者さんたちは電気を小売りしているだけでは今後ビジネスの限界を迎えることになってしまいます。今、全国的に電力小売りの現場では、激しい顧客の取り合いが行われています。特に、旧一般電気事業者、つまり東京電力や東北電力、九州電力など地域割りが行われていた頃からの“電力会社”の間での戦いが激化しています。それに巻き込まれる形で、全国エリアの新電力や地域の新電力会社も差はあるものの厳しい状況を迎えつつあります。
 大規模販売の小売り会社は消耗戦を免れられないでしょうが、地域の新電力には別の道があります。一言でいうと、地域ならではの付加価値を地域に提供するビジネスです。小売り事業そのものでも、エネルギー地産地消の推進や地域への還元など地域を大事にするテーマを前面に打ち出して価格に対抗するというやり方が重要です。しかし、理念の浸透に時間がかかり、工夫や人手が必要です。
 
 一方、「地域ならではの付加価値を地域に提供するビジネス」といっても何のことだか分らんという声がすでに聞こえてきそうですね。
 そのまま読んでも具体例が浮かばないと思いますが、実際には、世の中の大きな動きや価値の転換などと連動したしっかりとした根拠があります。

 重要なポイントは再生エネの価値が急激に上がっていることです。
 コラムを読み返してもらえばわかる通り、企業ではRE100やRE Actionに参加することがだんだん当たり前になってきています。再生エネを使っているとか、たくさん使うことを目指すとか宣言しないと、サプライチェーンから外されたり融資を受けにくくなったりと、事業に不都合が生じる可能性が出てきたのです。自治体も同様にCO2排出への対応を怠ると、みんなから忘れ去られ人口減少に拍車がかかるということも決して夢物語ではなさそうです。
 地元の企業や自治体が再生エネに積極的にかかわることは、地域の衰退を防ぐ大きな力になるのです。再生エネに容易にアクセスできる、つまり再生エネを作ったり、調達したり、使ったりができるようにすることが、地域における重要なサービスであり、地域の価値を高めて衰退から救う手段になるのです。お判りでしょう。そうです、地域の新電力さんの電気の小売り以外のビジネスチャンスはそこにあります。

 まずは、地元の企業や自治体に対して、RE100やRE Actionに参加するお手伝いをすることです。そして、再生エネ100%の実現に向けてのプラン作りから始まって、実際に再生エネ電気を使えるようにしてあげることです。その中には、再生エネ電力を調達してくることだけでなく発電施設を作るお手伝いをすることも入ります。
 さらに、再生エネの重要性が増す中で、柔軟性がビジネスになります。柔軟性とは、再生エネ電力が系統などに入りやすくすることです。それにはVPPや蓄電池の普及などが今後は必須ですから、そこもチャンスです。また、地域で使うネルギーの大半は熱や交通なのでそれらもいずれ新電力で扱うのが正しい方向です。もちろん再生エネ由来でないと価値がなくなります。
 こう考えれば、電気の小売りという事業がいかに一部でしかないかということがわかるでしょう。最も重要なのは、これらの事業がうまく展開することは地域の価値を上げて地域を良くする、活性化することとイコールだということなのです。

 地域の付加価値を上げるとはつまりこういうことです。
 その役割を果たすのにふさわしいのが、地域の新電力だということは自然にわかっていただけると思います。
 今年は、小売り以外の地域でのビジネスを考えるスタートの年にしてください。まずは勉強からでも構いません。そして、ほんの少しでも何かを始めてください。一歩でも先んじることがビジネスを成功させる基本だということに誰も反対しないでしょう。

以上

電力コラムの記事一覧

弊社事業のご紹介

バックオフィス支援

バックオフィス支援業務

新電力事業を新規に立ち上げる方
開始されている方へ

自治体新電力のご提案

自治体新電力のご提案

自治体の皆様へ

バランシンググループ

パワーシェアリングの
バランシンググループ

インバランス発生のリスクやコストを削減!