第七十三回 「地域活用電源」を知る

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 前回のコラムでは、変わっていく日本のエネルギーに関する制度の勉強をしようと呼びかけたつもりです。再生エネは今後さらに重要性を増す一方のエネルギーで、特に今年以降、制度の変更や新しい制度が目白押しです。少し時間を取って、ぜひ勉強してください。
 ところで、私の最近のコラムを振り返ってみると、たびたび登場するのですが説明されていない言葉が少なからずあることに気づきました。そこで、今回は中でも重要な「地域活用電源」という用語を取りあげてみます。

 この「地域活用電源」という名前は特に昨年の秋以降、経産省によって頻繁に使われるようになりました。背景には再生エネによる電力を、一定の高い価格で買い上げるFIT制度(固定価格買取制度)が大きく変更され、終了に向かって動き出していることがあります。制度の変更によって、再生エネ発電の優遇措置の範囲が大きく狭められることになるのはこれまでも説明をしています。ところが、個別の再生エネ発電施設が「地域活用電源」と認められれば、優遇措置が残ることになるため、その適用のための条件に注目が集まっています。この適用条件には、「地域活用要件」という名前がついています。

 全体の考え方は、今年2月の「総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 再生可能エネルギー主力電源化制度改革小委員会 中間取りまとめ」という長ったらしい名前の経済産業省資源エネルギー庁の文書の中に示されています。
 具体的な文章では、「災害時のレジリエンス強化やエネルギーの地産地消に資することが期待されるもの」で、少しわかりやすく言い換えられて、「自家消費や地域と一体となった事業」を優先的に取り扱うことになっています。
 解説しましょう。
 再生エネは基本的に分散型エネルギーで、需要地の近くに資源があったり、近くで生産できたりするエネルギーという特性があります。ですから、再生エネで地産地消を行えば、通常時の自家消費だけでなく災害時にも役立てることができるため、そういう使い方(これが「地域活用要件」です)をしているものには特別措置として、FIT制度を残そうというのです。

 経産省では、具体的に以下の2つのカテゴリー分けをしています。
・「自家消費型」需要地に近接して柔軟に設置できる電源(例:住宅用太陽光発電、小規模事業用太陽光発電)
・「地域一体型」地域に賦存するエネルギー資源を活用できる電源(例:小規模地熱発電、小水力発電、バイオマス発電)

 特に、地域活用電源として最も多いと思われるのは、上記の中の小規模事業用太陽光です。中でもいわゆる低圧(10~50kW)の案件は、目の前となる2020 年度から新しい要件が適用されることになります。そこでは、災害時に活用できることと、一定の比率以上(30%以上となる方向)の自家消費を行うことが求められることになります。
 また、ソーラーシェアリング(「営農型太陽光発電」というのがお役所の言い方です)についても、一定の条件の元でFIT制度が適用されることになりそうです。
 一方、地域一体型の要件設定は、2022年度からになる見込みです。

 今更ながら一つ書いておきます。
 FIT制度は発電事業者に対することで、小売電気事業者、いわゆる新電力にはあまり関係ないのではないか、と思っている方はいませんか。
 とんでもありません。気候危機への対策としての再生エネの重要性は日々増すばかりです。今後、再生エネの利活用拡大は必須ですし、それに関する事業も急激に膨らんでいくのは確実です。
 その中で、例えば、PPA(Power Purchase Agreement)という仕組みでは、地域の新電力が余った電力を買い取ったり、足らない電気を供給したりと発電施設の保有者と需要家、電力の供給を行う新電力と一体化した取り組みが必要になります。また、流行りのRE100やRE Actionに参加する自治体や企業に対して、再生エネ電力を調達して供給するシステムでも地域新電力は欠かせない存在となります。
 つまり、エネルギーの地産地消が可能となる再生エネ電力の利活用では、再生エネを生み出す側とそれを調達する側は切っても切り離すことができないパートナーとなるのです。特に、「地域活用電源」の適用を受けようとする際に、地域の新電力が良い相談相手になる可能性もあります。
 このように、再生エネ発電に関する重要な制度の変更を理解していないということは、有望なエネルギービジネスから取り残されることに直結するのです。

以上

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