第七十七回 新型コロナはどう影響するか

日本再生可能エネルギー総合研究所 北村

 新型コロナ抑え込みのための非常事態宣言が一か月程度延長されることが確実になりました。広がる自粛の中で大変な生活をしている人たちが増えていくのが心配です。
 当然ですが、エネルギーも様々なあおりを受けています。今回のメルマガは、そこに焦点を当ててみます。

 まず、地域新電力をはじめとした小売電気事業者に対しての直接的な影響からです。
 監督省庁も動いているのは、電気料金の支払い猶予の問題です。客足が途絶えたり、臨時に休業していたりする飲食店を中心に、売り上げが激減し支払いの余裕を失っている事業者が拡大しています。経産省は、すでに2回にわたって猶予要請を行っています。まずは、1か月分の猶予、4月に入って2回目で2か月目の支払い猶予を求めています。
 各地の旧一般電気事業者は一斉にそれに従っています。また、新電力も同様の動きを行っているところが多く、私の知っている範囲の地域新電力でもWEBサイトなどで相談を受ける旨の告知を上げています。もちろん、要請があろうとなかろうと、地域の中の仲間が大変な時期なので、できる限り相談に乗って要望に応えるのが望ましいでしょう。
 しかし、非常事態宣言がいつ解除されるかわからず、1~2か月の延長も十分あり得る中で、猶予する料金が増加し新電力の経営に響いてくる可能性もあります。運転資金の余裕を確認するなど、金融機関との連絡などを密にすることをお勧めします。

 また、電力の需要が大きく減り始めています。1月、2月に対して3月がすでに大きく減っていることがいくつかの統計で示されています。
 ちなみに、日本より感染が進行していたドイツでは3月の最終週と4月の第1週の電力需要が8%前後減ったことが確認されました。企業の減産によるものが一番大きな要素です。電力需要の増減は、売り上げおよび利益の出方に響いてきます。これまでの料金メニューをもう一度見直すなどの作業は無駄ではありません。
 また、需要が大きく減ると、再生エネの発電量との関係がこれまでと変わってきます。具体的に言うと、例えば、九州地方などで太陽光発電に対する出力抑制が増える可能性が十分あります。これまで需給バランスがとれていた時間帯で需要が減れば、再生エネ電力の供給が飛び出ることになるからです。出力抑制の増加は、発電事業者にとっては収益減になります。一方で、その結果、卸売市場の価格がゼロに近くなる極端に安い電力の価格がさらに多く現出すると考えられます。

 発電事業者と地域新電力の違いなど、それぞれのシチュエーションの中で様々なデメリットや場合によってはメリットが出る可能性もあるでしょう。大規模な自粛の後は、電力の消費者の行動も大きく変化するかもしれません。各種の情報にアンテナを張りながら、次の一手をどう打つかぜひ考えてください。

 ほぼ世界中で起きている事象なので、コロナショックはエネルギーに対して世界規模の影響を与えています。
 一番驚いたのは、原油の市場です。原油の取引価格が瞬く間に10ドル以下になり、さらについにマイナス価格になりました。需要側の原油貯蔵タンクが近く不足するということから、手持ちの原油を早くさばきたいという焦る気持ちがネガティブのプライスにつながったことが大きな原因のひとつです。ドイツで風が吹きまくり、風力発電が急激に伸びたときに見せるネガティブプライスと似たような構造です。ちなみに、ドイツでは昨年このマイナス価格が年間およそ200時間を超えました。

 コロナショックと再生エネとの関係はどうなのでしょうか。
 原油価格が下がると、連動して天然ガスの価格が下がります。そうなれば、再生エネが価格で太刀打ちできなくなるという考えは普通に出てきます。実際に再生エネに対する投資が減るという予想もあります。
 ところが、ドイツでこんな現象が起きています。
 2020年に入ってドイツの再生エネ発電はさらに好調で、特に1月、2月に強い風に恵まれた風力発電は、第1四半期の発電量が昨年より2割もアップしました。そして、3月に入ってコロナ禍です。企業活動が停滞して10%近くドイツ全体の電力需要が落ちました。
 ところが、中でも劇的に発電量が減ったのは石炭発電でした。ここには、限界費用という考えが働いています。限界費用とは、1kWhを追加的に発電するために必要な原料の値段のことです。ドイツでは、石炭発電の限界費用は天然ガスや再生エネより高いため、使用する電気を減らす(=発電量を減らす)ときには限界費用の高い石炭発電から減らすという行動になります。再生エネは、風力や太陽光発電の場合、原則として限界費用はゼロです。つまり、安い電気から使われるという当たり前のことが、コロナショックの中でも生きているのです。

 私は、今後とも再生エネの利活用は中長期的に見て必ず拡大し、再生エネが主電源化するということに何の疑問も持っていません。そして、利活用の主体となる地域新電力をはじめとした地域のプレーヤーの役割はさらに重要性を増すと考えています。大変な時期ではありますが、適切な情報をつかみながら、次のステージへの準備をお願いします。

以上

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